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日本国憲法

















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キャッシュフロー戦略のすすめ
小さな資本で大きなキャッシュフローを生み出しているか!
著 者: 西浦道明
定 価: 本体¥1,400円+税
発行日: 1998年6月30日第1刷発行
発行所: 株式会社かんき出版
〒102-0083 東京都千代田区麹町4-1-4
電話:03-3262-8011営業部
FAX :03-3234-4421
振替:00100-2-62304
拾い読み
はじめに
小さなバランスシートでいかに大きな儲けを生みだすか
日本の企業二四〇万社のうち、八年前までは五〇%以上あった黒字企業が、昨今では三五%に連続して減少してきている。もともと五〇%近くが赤字企業だったのではないかと思われる方もいるだろうが、二四〇万社のうち七〇%近くは、きわめて零細な、会社というよりは個人に近い企業である。
利益が出て税金を払わなければならなくなると、経営者が役員報酬をとって赤字にしたり、相続対策のために赤字にしたほうが有利だとばかりにわざわざ赤字にしている企業も相当数含まれていると思われる。
しかしここ数年見られる赤字転落現象は、これとはまったく別ものと考えなければならない。本当の意味で採算がとれなくなつてしまった企業が数多く出現しているからだ。あるいは仕事が減り、あるいは価格が下落し、損益分岐点を割りこんでしまった企業も多い。さらにはバランスシートに利益を生まない資産を積み上げてしまい、借入金の返済が重荷になつている。
もちろん、こうした企業ばかりではない。依然として毎年二ケタ成長を続けている企業もあれば、倍々ゲームで伸びている企業も数多く存在する。不景気な話など、どこ吹く風で立派に業績をあげている企業もたくさんある。株式公開に向けて全社一丸となり、血気盛んな企業も次々と出現している。
それでもやはり、これまで経験したことがないほど苦しんでいる企業や経営者が急増している。そして一つだけ間違いなくいえることは、商品の差別化もなく、さしたる工夫もなく売っている企業は、確実に水面下に沈んでしまうということだ。
ここまで生き残ってきた企業経営者の一部には、共通の成功パターンがあった。それは、余分に買っておいた土地が何倍にも値上がりして大きな含みとなり、銀行借入につながる大きな担保となったのである。
そしてあまりに儲かりすぎた経営者と顧問税理士や銀行との間で、こんな会話が交わされるのが常であった。
「税金が高くなつて困っている。何か妙案はないかね」
「いい方法があります。銀行から借金して土地を買うことです。ゴルフ会員権でもいいです。支払い金利が利益を圧縮し、税金が減ります。買った土地は毎年、金利以上に値上がりするものの、含み益なので税金はかかりません。日本のお金持ちは、みなさん、この極意をご存じです」
バランスシートの左側に土地があり、しっかりと含み益がある。これはまだ実現していない利益だから非課税である。片や取得コストたる借入金利は本業の利益を庄縮し、そのぶん、課税所得が減殺される。
実にうまい話であった。決断力ある社長が飛びついたのは当然である。
しかしこれは、土地が値上がりを続けるという条件のもとでの話にすぎなかった。土地の値段が下がればどうなるか。借入金コストが損益分岐点を押し上げ、高コスト体質になる。土地が含み損を持つまで下がると、資産形成どころか、資産喪失につながる。資産を処分しても借入金が全額返済できず、存亡の危機を招きかねない。
まして本業の売上げの伸びが止まり、さらには下落し、本業そのものが高コスト体質になったら、あるいは本業が供給過剰、設備過大に陥っていたら‥‥‥。
いまから三〇年近く前、一橋大学の管理会計の講義で、当時、助教授だった岡本清氏が次のように話しておられた。 「アメリカでは、管理会計理論を学んだ者がビジネス界で大成功をおさめている」
そして経営の基本に、会計の考え方をおかなければならないと力説されていた。いいかえれ ば、予測売上高から必要な利益を差し引いた残りで、原価や経費をまかない、小さなバランスシートでいかに大きな儲けを生みだすかという考え方であった。
しかし当時も、その後も、日本の企業経営者のなかで、こうした考え方を理解する人はほとんどいなかったといっていい。
「理論はいいけれども、金儲けは私に任せてくれませんか。カンで結構。私は自分のカンを信じていままでやってきたし、これからもこれでやっていくつもりです。会計士の先生に頼みたいのは、私の儲けの結果を決算書にして素早く知らせてくれることと、税金を少しでも減らす知恵を貸してくれることです」
こういう経営者がほとんどであった。
そして一〇年ほど前には、こんなことがよくいわれた。
「アメリカの企業は四半期ごとの利益を追求する経理中心の経営をやっているので、近視眼的になりがちである。日本的経営は長期戦略のもとで経営を実践しており、<だめな会社は経理が強い>という俗言にもあるとおり、後方支援部隊である経理の話を開きすぎるのはよくない」
当時は、こうした意見に妙に納得したものだが、昨今の日本経済の状況を見ると、本当にそうなのかという疑問を抱かざるをえない。単に日本の経営者が会計の本質について不勉強だっただけではないだろうか。
ところで時代の要請の中で、管理会計そのものが変革を求められている。営業利益や経常利益を見ているだけでは、本当の儲けはいくらあるのかがつかみきれなくなっている。
そこでおすすめしたいのが、本書でとりあげるキャッシュフロー戦略の活用である。いまやキャッシュフローの考え方をとり入れて理解しておかないと、正しい意思決定ができないといっても過言ではない。
*
会計から導き出される経営目標は、小さな資本でいかに大きな儲けをあげるかということにほかならない。つまり小さなバランスシートでいかに大きな儲けを生みだすかである。
基本的な資本効率の追求を軽視しながら、日本の企業はなぜ成長できたのだろうか。これには二つの理由が思い浮かぷ。
一つは、「欧米企業に追いつけ」のかけ声のもと、銀行が資金面で全面的にバックアップし、日本経済全体が右肩上がりに成長し、企業の売上げが伸びていたため、結果オーライだったことだ。
いま一つは、土地神話によって本業の儲け以上に含み益が生まれ、いざとなれば資産の売却によって立ち直ることが可能だったからである。資本効率のような難しいことを考えるよりも、値上がりしそうな土地を仕込んでおいたほうが、結果として大きな財産をつくることができたからだ。
日本経済の特質である土地神話が崩壊し、含み益の追求をまったく否定しなくてはならなくなると、日本的経営の経営目標は大きく変わらざるをえなくなった。かつて東京都の地価総額とアメリカ全土の地価総額とを比較する議論が存在していたことすら空々しく思える。
明らかに土地神話は崩壊した。同時に含み資産経営も崩壊した。バランスシートの左側に土地、右側に借入金という会社がベストであるという時代は終わった。いまやっと異常な悪夢から目覚めたという思いが強い。
いまこそ経営者、経営幹部をはじめ、部課長にいたるまで、早急に原点に立ち返り、経営目標を一から考え直す必要に迫られている。
西浦道明
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