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JDL Avenue vol.13 1999年3月掲載
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経営計画編 vol.3

無借金経営への道程 3


北海道民の夢が作った航空会社

 あなたは  AIR DO  という航空会社をご存知ですか。
 1998年12月20日の初フライトがテレビ報道で生中継されたのをご覧になっている人も多いこと思う。その北海道国際航空株式会社代表取締役副社長浜田輝男氏の話を聞く機会を得、その後、北海道国際航空に関する資料を調べて、ますますこの会社のすばらしさに感動した。
 この会社は、誰かが金儲けをしようとか、一旗揚げようとかいうことでスタートしたのではなく、通常なら新規事業の立ち上げには必須と言われる@核になる資本、A核になる人材、B新しいノウハウや技術など全くない中で、北海道の自立、産業経済の活性化にために何を具体的にするか、という多くの中小企業家の議論の中から、具体的なテーマとして生まれてきた。
 このことからも、本稿の主要テーマである計画経営の基本となる「経営理念」において京セラ名誉会長の稲盛和夫氏のいわれる「動機善なりや、私心無かりしか」というテストにも見事合格するものといえる。


 横浜生まれの浜田氏は昭和34年4月以来北海道に住み、5月になると十勝はいっせいに花々が咲き、白樺が芽吹き、カラマツが毎日緑の色を変える感動的な北海道の自然に触れ北海道を大好きになってしまったという人物である。
 この航空会社は、養鶏業が本業である浜田氏の北海道中小企業家同友会の中の一水会という異業種交流会での3分間スピーチから始まった。それは、道民の出資でコスト構造の良い外国の航空会社にお願いして、現行の半額で飛行機が飛んだら北海道にとって大変インパクトがあるのではないかと言う内容だった。それまで、この手の話は@面白い話だねAできたらいいねB誰かやってくれるといいね、で終わっていたのだが、この話はそれで終わらなかった。このときの熱い思いが伝染したとしか言いようのない状況が出現した。多くの中小企業家や学者・地元住民の各層を突き動かし始めたのだ。

 養鶏業界は「卵は物価の優等生」と言われるほど戦後一貫して値段が上がらない競争の激しい業界である。氏はその激しい競争に打ち勝つために必死の思いでコストダウンをしてきた。そうした世界から見たら、世界の航空会社が熾烈な競争を繰り広げている中で、戦後48年間もの長いこと競争のない異常とも言える日本の航空業界にもようやく競争原理が取り入れられようとしてきた。

 平成8年6月に幅運賃制度(上下25%の幅で各路線、各航空会社自由に運賃を決めてもよいと言う制度)がスタートした、しかし期待に反して既存三社はいずれも高値に張り付いたうえに、往復割引運賃がなくなり、実質的に5千円ほどの値上がりになってしまった。
 平成8年AIR DOの立ち上げ時点で道民航空推進協力会長の山本克郎氏は、次のように言っている。
 「北海道が誇る日本一、世界一のものに「羽田--新千歳」間の航空路がある。航空機の便数にして日本一、二都市間の旅客数(830万人)は世界一である。しかし航空運賃の高さも、その飛行時間90分の航空路の中で比較すると、先進国(OECD加盟国)中で世界一なのである。世界一の旅客数を運ぶ航空路線が世界一高い航空運賃であることは、どう考えても不合理である。」

 そして次の3点も指摘している。

1.わが国の航空会社が世界の潮流「規制緩和・航空自由化」という大きな変化に遅れをとって、国際競争力が低下してきた。また、三社寡占状況のために、国際水準の二〜三倍という国内運賃の高さが、特に北海道や沖縄など首都圏との高速交通を専ら航空に依存する地域の発展にとっての障害となってきた。

2.北海道経済について「北海道は危ない」と迄言われる中で、道と本州との交通の80%以上が航空機に依存している現状で、この高額運賃を放置しておく状況にはない。(中略)

3.航空問題を考えるとき千歳空港ほど国際ハブ空港たる条件を備えている空港は日本にはない。(中略)現状のまま推移するなら、2000年に始動する新ソウル新国際空港にハブ機能が収斂し、日本の空港の多くはそのスポークとなる。これまでの空港整備計画に投じてきた巨額な投資は、そのハブ化に役立っても、日本には国際ハブ空港が出来ずに21世紀の世界における日本の凋落が憂慮される。

 AIR DO関係者のこれらの発言を聞いていると、改めて「公憤」を持つことの大切さを教えられる。

支援の輪が大きく広がる

 このような問題を指摘してきた人たちがついに動き出し、一人50万円29人の出資でスタートした。その後7回の増資を繰り返し株主数は2250名に達した。また50万円は出せないがぜひこの会社を応援したいという人のために「北海道国際航空支援持株会」を設立し、ここに集まったお金をAIRDOに出資をしていくという形態を取っている。
 こうした北海道民の一人一人が自分のこととしてAIR DOを支援し出資をする動きが、そしてそれに感動したわれわれの一人一人がAIR DOを利用することが寡占体制にあぐらをかいてきた航空業界に大きな影響を与え、今の北海道経済に、究極的には日本経済全体の閉塞状態を打ち破るキッカケになると思われる。
 ものを書く立場の人間として、この記事の元になった浜田氏の話から受けた多くの感動をこうしてお伝えすることの大切さを身にしみて感じている。



参考文献
「北の美しい翼」
発行日 1997年11月25日
発行所 北海道国際航空株式会社
北海道国際航空株式会社
支援持株会の概要(平成10年10月現在)
会員数   1900名
出資金額 1億2150万円
当会を通して正規株主になった株主数 682名
出資金額 4億4050万円
事務局連絡先 
〒060-0005 札幌市中央区北五条西6丁目道通ビル1階
電話 011-210-7535 FAX 011-210-7536

図―1


 AIR DO
事業の目的

 日本の航空産業は、今、大きく変わろうとしています。消費者からの声、外国政府や外国航空会社からの圧力の中で、日本の航空産業は国際競争力をつけていくことが、一番望まれています。この環境の中で、私たちが、どうお役に立てていけるか、より良い将来の日本の航空産業のビジョンを明確に把握して、かつ、その一助に役立てばと思っています。
 次に、わが社は、北海道の地元中堅企業の方々の北海道の将来をどう考えるかという熱い思いから生まれました。そして、道民全員の期待を担っていると信じています。

 私たちの新規参入が、今後大きく変化する航空業界に新風を吹き込み、需要拡大とコスト低減につながると思います。ひいては、日本の航空業界全体に国際競争力をつけることになると信じて活動しています。

 これらが実現することにより、二一世紀の北海道に元気と自信をもたらしてくれると確信して活動して行きます。

経営理念

一、安全運航体制の確立
  航空会社にとって、安全運航は絶対の使命と認識しています。
  そのために、人的面や経費面でも、この安全運航体制への万全の配慮は、我が社の最重要課題に位置付けます。

二、スリムで無駄のない経営
  スリムで無駄のない経営で、ユーザーのためにコストダウンを計り、ユニークなサービスを提供できる競争力のある企業を目指します。

三、いつもお客様サイドに立った経営
  お客様の満足を第一に考え、安全性・低廉化・快適性・利便性を重視した経営を行ないます。

四、グローパルに考え、ローカルに行動
  あくまでも北海道発の個性的企業として、ローカルに行動する企業でありながら、発想はグローバルに考える未来型企業を実現します。

機材計画(略)

路線計画(略)

整備計画

 B767整備の実務経験を豊富に有する社員を配置し、当社整備規程に基づき、飛行前点検から重整備に至る全ての整備を委託する計画です。
 委託契約先は、整備品質に実績のある日本航空株式会社で覚え書きを十月三一日付けで契約しております。

乗員計画

(一)運航乗務員
 基幹乗務員は、国内でボーイング767操縦経験を豊富に有する日本人乗務員を採用配置します。その他の乗員に関しては、海外の乗員リース会社から外国人乗員を採用します。
(二)客室乗務員計画
 道民出資の航空会社である色彩を鮮明にするため、客室乗務員は、北海道に住まわれる方を主とします。編成においては、経験豊かな客室乗務員(経験三年以上)をチーフに、男性も含め、配置する計画です。


中央会計事務所
税理士 細野知久
  〒179 東京都練馬区早宮2-17-37
TEL03-3933-0266 FAX03-3931-4400