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JDL Avenue vol.17 1999年11月掲載
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経営計画編 vol.6

無借金経営への道程 6



本業を核に周辺を広げる

 「売り家と唐様で書く三代目」という江戸川柳があるが、今回は本業を軸に時代の変化を見事にとらえ、会社の寿命30年説の例外ともいえる創業80年になるインターワイヤード株式会社(旧斉藤コード製造株式会社、以下IW社と記す)の四代目社長とその会社の様子をご紹介する。
 IW社は斉藤義弘現社長の祖父にあたる斉藤義国氏が1919年に創業した電線を作る会社である。電線は時代の変遷とともに今日使われている各種ケーブルへと変化し、「本業を核に周辺業務を拡充する」という原則に従って、事業は単にケーブルを製造するだけでなく、ヒーター線を独自に研究開発し、ケーブルの設計・製造からコネクターアッセンブリまで一貫生産する企業に成長していた。
 しかしそれでも悲しいことに、斉藤義弘氏が入社した昭和54年頃は高校生の会社見学の感想文には「決して行きたくない会社」と書かれてしまうような典型的な中小企業で、工場の中も汚く暗く「のんびりとした会社」だった。
 ところが氏が取締役になり、数年後に代表取締役に就任した頃、丁度時代の転換期が訪れていた。まさに時代の変化と経営者の起用がマッチした格好の事例となった。
 並の四代目経営者なら、それまでの企業の蓄積を大事に温存するのが精一杯のところだが、時代の変化に素早く対応し、本業の中でコンピュータの力をフル活用して見せて全社員の意識改革を促し新しい時代へと目を開かせるなど氏は新社長としての職責を充分に果たしている。

経営指針の作成とISOの取得

 取締役に就任した頃から積極的に経営者の勉強会に出席し、一部に見られる様な見栄が優先してしまうジュニア経営者とは一線を画してきた。現役の創業経営者との激しい議論や若手経営者でなければ出来ない新事業への果敢な挑戦を繰り返してきたことに氏の経営者としての確かさが現れている。
 その中の一つに、中小企業が陥りやすい「成り行き経営」からの脱出のために「何のためにこの仕事をするのか」を厳しく自分に問い、経営指針を作りその中で経営理念・事業コンセプトを掲げていることが挙げられる。
 品質方針の「全社員が相協力して、お客様の満足する商品を提供する。」を実現するために本社及び岩手県胆沢工場でISO9002、9001を取得し、更に環境方針に掲げた「インターワイヤードは自然を愛し、環境を重視した企業活動を通じて、かけがえのない地球環境を守る努力を続ける」との環境理念を明示し、環境マネジメントシステムの国際規格、ISO14001も本年6月に取得した。

インターネットとの出逢い

 斉藤義弘社長がインターネットに出会ったのは、まだ大手企業ですら数社が集まってサイバースペース(仮想空間)を作りそこで各種の実験をしていた1994年で、日本ではごく少数の人にしか知られていなかった頃だった。そんな状況の中で、先進的な中小企業が「品川」をキーワードに集まる「品川Sea Breeze」を、また電線関係の「電線箱」といったサイバースペースを次々と立ち上げ大手企業顔負けの実績を挙げ新聞・雑誌などで好評価を受けてきた。
 その時期からのいくつかのエピソードをご紹介しよう。
 今あなたのコンピュータでもきっと使われている「USBコネクター」が日本ではどんなものか規格もはっきりしない頃に、会議の席上にそのUSBに関する情報を一番早く提出したのはベテラン社員ではなく、インターネットで検索した新人女性社員だった。これが他の社員にインターネットの持つ潜在力を強くアピールするきっかけとなった。
 コンピュータとインターネットを活用した別の例では、
 それまでオフコンで在庫管理をし、本社・工場間の在庫データ受け渡しをFAXで行っていた、それを基に受注をしたら現物が無いなどのトラブルが発生することから、在庫データの信頼性ばかりか社員間の信頼感までも揺らいでいた。
 ところが市販の表計算ソフトを使い、社内で自作した電線とハーネスの一覧性のある在庫管理表をデジタルデータ化することが出来、それを本社・工場間の在庫データ受け渡しに活用したことで、前述したトラブルが解消したばかりでなく、社員間の信頼感も回復した。多芯ケーブルの販売では「14芯の代わりに13芯又は15芯ではいかがですか?」という対応が出来るようになり、ビジネスチャンスを逃すことが少なくなって、売上げが伸び、在庫を4千万円も削減できたという。まさに一石三鳥・一石四鳥の効果があった。
 それで留まってしまえば並の経営者であるが、そのノウハウを「専用システムを開発することなくWWWブラウザを通して検索・編集する環境を構築」する商品としたあたりも氏の独創性・積極性を物語っている。
 こうした多くの経験を基礎として同社のマルチメディア事業部の創設へと発展するのだが、その陰には中小企業家の勉強会で知り合った株式会社エイジア(東京都品川区)の江藤晃氏という強力な協力者がいる。同氏の協力を得て大手企業に先駆けて会社案内のCD−ROMを制作し、そのノウハウを基に従来の紙による会社案内や製品カタログなどの販促物をCD−ROM化するばかりでなく、検索機能や動画・音楽・ナレーションなどを充分に活かしたマルチメディア商品を創造し、それが今ではIW社の一翼を担っている。
 具体的には、携帯電話会社の契約入力担当オペレータの教育用CD−ROMを作ったことで、その会社では従来2日間かかっていた新人教育のコストが大幅に削減でき、現場では教わったのに自信がないということも無くなったという。
 CD−ROM製品では他にも、オーディオ機器のプレゼンやコピー機の販促用など現物を持って行くには大がかりになり過ぎる、或いはオプションであるスタッキング機能など口頭ではうまく表現できないような機能をコンピュータグラフィックス画像で的確に説明できるものなどがある。

中小企業に夢を与えるDO−NET

 IW社がマーケティングリサーチにインターネットを活用する手法とし専門実験サイトDIMSDRIVE(Direct Marketing Service)を立ち上げたのは1998年10月のことである。個人のプライバシー保護に留意しながら約4ヶ月にわたって運用した結果は社団法人情報処理学会へも研究報告がなされ、その有用性がさらに実証された。
 その中で紹介された事例の東京水道橋にある文具店 「広文堂」http://www.kobundo.com/ ではホームページ上のアンケート結果を基に、新しいコンセプトの文具店を丸の内にオープンした。
 そして、ここでもIW社の新しい事業分野としてインターネットによるマーケティングリサーチが誕生している。
 こうした中小企業を中心としたインターネット関連の事業を積極的に推進してゆく中で、さらに多くの中小企業家との縁が深まりインターネットの普及に大いに寄与している。
 とは言っても、現在インターネットを充分に使える環境にある中小企業はまだ少ない。
 そこで、IW社とエイジアが中心となり中小企業家同友会の協力を得て、中小企業が自社の情報発信ばかりではなく、「職WEB」ではリクルートが出来、「ビジネス掲示板」では販路の拡大につながる「こんな仕事が出来ます」「こんな仕事をしてくれる企業はありませんか」などの情報を掲載できるインタラクティブな(双方向性のある) 「DO−NET」http://www.dims.ne.jp/donet/ を立ち上げた。
DO−NETではWEBページを制作できるノウハウのない企業でも一定のフォーマットに従って企業名・連絡先・事業内容・取扱商品などをワープロ感覚で打ち込めば、DO−NET内に専用のホームページが出来てしまう。
 更にパソコンが無くインターネットへの接続が出来ていない企業には郵送すればIW社が代行入力してくれる。

共生の時代の企業像

 IW社は電線を基礎にしながら、インターネット環境が飛躍的に変化する我が国において、仲間の中小企業と夢を共有しながら更に発展を続けていくことが大いに期待される。このような企業が続々と現れることが、激変する経済環境の中で日本の経済を支える中小企業の底力を示し、真の意味での企業の民主化につながっていくものと確信している。
 あなたにお願いしたいのは、こうした情報をいち早くクライアント企業にお伝えいただき、例えばDIMSDRIVEの中に設けられているプレゼントパークを活用し、自社製品のマーケットリサーチをするなど関与先企業の業績の向上、社風の改善などに役立てていただきたいことであり、インターネット環境では他を活かすことを優先しなければ、自社が活かされない、まさに共生の時代に相応しいそんな企業づくりに励んでいただきたいことである。

会社の概要

商 号 インターワイヤード株式会社
代表者 代表取締役社長 斉藤義弘
資本金 1億円
創 業 大正8年9月
設 立 昭和11年11月
従業員 170名
本 社 東京都品川区南大井5-19-8
電話 03-3761-6787 FAX 03-3765-7873
http://www.interwired.co.jp/
info@interwired.co.jp

インターワイヤード株式会社の沿革

1919年  斉藤義国が電線類の製造を開始
1923年   現在地(品川区南大井)に移る
1936年 法人組織「斉藤コード製造株式会社」とする
1944年   群馬桐生工場竣工
1948年 資本金100万円に増資
1968年   UL規格認定工場となる
1968年   資本金5千万円に増資
1975年   資本金1億円に増資
1989年   郡山サポートセンター竣工
1991年 岩手胆沢工場竣工
1995年 マルチメディア事業部設立
1996年2月 サイバースペース「SHINAGAWA SEA BREEZE」運営管理開始
1996年7月 本社新社屋竣工
1997年5月 WEBページ製作用素材集CD-ROM「WEBTOOL」企画・販売
1998年2月 本社及び岩手胆沢工場ISO9002取得
1998年10月 本社及び岩手胆沢工場ISO9001取得
1998年10月 DIMSDRIVE(Direct Internet Marketing Service)運営開始
1999年1月 「インターワイヤード株式会社」に社名変更

中央会計事務所
税理士 細野知久
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