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JDL Avenue vol.18 2000年1月掲載
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経営計画編 vol.8

無借金経営への道程 8



社員手作りのシンポジウム

 平成11年10月15日に日本経済新聞社のホールで環境問題をテーマにした「廃棄物革 命・2001」と銘打ったシンポジウムが開催された。このシンポジウムは平成5年 (1993年)から始まり、第7回になる今年のタイトルは「時代の転換期における環境 対策」とされ横浜国立大学の環境科学研究センターの中西準子教授を招き基調講演と パネルディスカッションが行われた。
 この企画は、産業廃棄物の業界はもちろん、一般企業、そして個人も含めて対象と しクリーンな環境を維持するために産業廃棄物の処理はどうあるべきかなど、現代人 としてさけることの出来ないテーマに正面から取り組もうと、毎回の中心課題から準 備・当日の運営に至るまで株式会社ハチオウの若手社員が中心になって開催してい る。
 このようなシンポジウムが社員の手で7回にわたり続けてこられた陰には経営陣・ 社員双方に並々ならぬ苦労があったのだが、現在同社の社員たちと接しているとそん なことを微塵も感じさせないところがある。

金・銀・白金加工業から産廃業へ
 株式会社ハチオウは、東京・台東区東上野に本社を構える産業廃棄物処理業の会社 である。同社の原点は現社長(森雅宣氏)の父(森善之助氏)が昭和2年に設立した 金・銀・白金加工業の(株)森銀器製作所にある。昭和40年に現社長が宝飾加工企業 の多い甲府市に貴金属の地金問屋である(株)森銀を設立し、原料である貴金属素材 の供給を開始した。その後昭和40年代後半に貴金属が不足した際に、原料となる銀を 印刷関連会社の廃棄物ゴミ等から回収・リサイクルするために昭和47年(株)ハチオ ウが設立された。銀を回収するときに有害物が出るのでその処理を行うためには産業 廃棄物処理業者として中間処理の許可が必要であり、必要に迫られて順次許可品目を 増やしてきたことが今日非常に役立っているという。
 ここにも他の優秀な企業と同様、「本業から離れず、本業に囚われず」の精神が生 きている。

産廃業から環境事業へ(社風作り)
 同社の設立間もない頃、他の中小企業同様に、入ってくる人達は挨拶すらろくに出 来ないし、作業着のボタンもきちんとはめずにだらしない格好で仕事をするなどと、 ご多分に漏れずまったく目も当てられない様だったという。
 しかし森裕子専務(当時・総務部長)が、社員の汚れた作業着を洗濯し、作業着の 取れたボタンを付けたりしながら、根気強く挨拶を続けていくうちにある日照れくさ そうに一人の社員が「おはようございます」と挨拶を返すようになった。それからは ほとんどの社員がしっかりと挨拶をするようになり、服装もしっかりとするように なったという。
 その当時は客先の廃棄物業者に対する認識も低く、一袋50〜60sの廃材をエレベー ターを使ってはいけないと言われ非常階段で必死になって降ろすなど大変な作業を強 いられているのに、社員が出先で「ゴミ屋」とか「汲み取り屋」等と呼ばれ屈辱感を 味わっていることを知り、それではあまりにも社員がかわいそうだと泣くほど悲しい 思いをしたという。
 社員と一緒になって現場の苦労を克服しようとする経営陣の姿勢が社員に伝わり、 徐々に効果を現してきたのは10年程前からだという。

ISO14001の取得とボイスメール
 汚い仕事・危険な仕事というイメージを払拭するためにも、また社員に誇りを持っ て仕事をしてもらうためにも、単なる産業廃棄物処理業ではなく、次の世代に誇れる 地球環境を守り回復するための「環境事業」としての理想像を掲げる必要があった。
 10年前、社長が東京中小企業家同友会との縁で経営指針の大切さを知り、社員教育 のためにはその軸となるべき経営理念が無ければならないと考え、経営計画書を作成 した。その後は経営理念を大切にし、求人活動においても積極的に「”廃棄物”とい うキーワードで人生を創る」ことを呼びかけこの仕事を人生のテーマにした若者の育 成に力を注ぐことを宣言している。但し採用に当たっては、きれい事ばかりを並び立 てることなく、収集運搬・中間処理の現場の厳しい状況も見せ、それでも入社したい 人から選抜する姿勢をとっている。
 また経営理念に掲げる「環境創造のパートナー」となるためにも環境マネジメント システムISO14001の取得が必要であるとの認識から、2年前から準備に入り平成10 年に準備室を開設し、平成11年9月にはISO14001の認証を取得した。この過程で東 京工場では「汚い・危険」が少なくなり、本社では仕事のルール化・システム化がさ らに進んだという。
 同社ではこれより以前に中小企業での導入がまだ少ないボイスメールシステムも活 用しており、いつも外に出ている営業担当社員の効率が格段に改善されている。例え ば、客先からの緊急連絡をボイスメールに一斉同報として入れることで全員に伝わ り、仮に担当者が出向けなければ、近くにいる他の者が代わって駆けつけるなど顧客 の要望に迅速に対応できる。現在では、全社員が緊急用・定時連絡用と2つのメール 番号を持っているという。

銀の森倶楽部
  先に紹介した年に1度開催されるシンポジウムではこなしきれない様々な問題を もっと深く掘り下げるために、平成11年7月から「銀の森倶楽部」ハチオウ環境ビジ ネス研究会の分科会が開催されている。この会では毎回テーマを決め講師の発表の 後、少人数でディスカッションする時間を設け参加者の意見を交換し合える工夫がな されている。ちなみに今までのテーマをご紹介すると、
ISO14000s取得の苦労と効果
グリーン購入の企業事例
どうやってリサイクルした?
現場のリスク管理(管理責任者からPRTRまで)
等があり、今後の予定としては
廃棄物処理法 今後どうなるの?
企業責任の時代 リサイクル法
環境関連法令
自治体条例の動向と比較
国際情報「他の国はどうしている」
等々やらなければならないテーマが目白押しに控えているという。

期待される若い世代
 株式会社ハチオウも設立から30年が経ち、多くの企業と同様、企業としての折り 返し点に到達している。
 今後の課題はますます厳しくなる環境規制の中で、同社の経営理念に掲げる「Save The Earth」「環境創造のパートナー」を実現するために、全社員の環境に対する意 識の向上と同時に、事業としての収益力を維持・拡大するために全社員が経営感覚を 身につけ自らが会社の牽引力となるような社員がますます多くなることが望まれる。
 同社は他の社歴の古い企業に見られるようなベテラン社員が若手社員のやる気を削 ぐようなこともなく、平均年齢27〜28歳(営業部だけを取ると25歳)という若い人々 の力を積極的に活用しようとする姿勢が育まれているようなので、今後ますます伸び る企業として期待が持てそうだ。


会社の概要

商 号 株式会社ハチオウ
代表者 代表取締役 森雅宣
  資本金 1千万円
設 立 昭和47年2月
従業員 107名
本 社 東京都台東区上野2-10-10-
     協和アネックスビル2F
フリーダイヤル 0120-21-8080
電話 03-3835-2030 FAX 03-3835-2037
http://www.8080.co.jp/
hachioh@8080.co.jp

関連会社

商 号 株式会社 森銀器製作所
代表者 森 毅
資本金 1千万円
設 立 昭和2年10月
本 社 東京都台東区東上野

商 号 株式会社 森 銀
代表者 森 雅宣
資本金 1,600万円
設 立 昭和40年2月
本 社 山梨県甲府市住吉



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