[表紙へ戻る]


日本国憲法

金融アセスメント法


企業理念
My Opinion
経理の質問箱


週間Qup通信
経理実践トレーニング
如是我聞
宮本孝の金融教室
野口レポート


私の本箱から
Let's Study
Let's Enjoy
リンク集
プレゼント
BenefitStationロゴ

JDL Avenue vol.21 2000年7月掲載
経理実践トレーニング
経営計画編 vol.11

無借金経営への道程 11



人脈の曼陀羅図を作ろう

 山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。(中略)
 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。 やはり向う三軒両隣りにちらちらするただのひとである。 ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。 あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
 ご存じ夏目漱石の「草枕」冒頭の一節である。
 人は何のために生きているのか?こんな青臭い質問をする人が少なくなった 今の時代は良い時代なのだろうか。たしかに住みにくい世の中ではある。 が、「そこに住む」と覚悟を決めたら気が楽になる。
 IT革命がどんなに進もうが人と人との付き合いが無くなることはない。 今、企業経営にとっても最も重要なのは人付き合いだろう。

 あなたの会社の全社員とその家族の名前と年齢を書き出し、毎日それに目を通していると、思わぬところで良い発想が浮かぶことがあるので、だまされたと思ってやって欲しい。
 自分のことばかり考えていた自分に愕然とし、その後で身近な一人一人の顔を思い浮かべながら、それらの人々の人生に関わっている自分を発見し、その重大さに気付き、何かせずには居られなくなること請け合いである。

 日頃の事業活動に目を転じて、取引先の社長や担当者などとの付き合いが、社長とは付き合いがあるが担当者とはまるで話をしないなど平板になっていないか点検してみよう。商売の損得だけで考えても勿体ないことをしていないだろうか。
 組織を運営する上で得意先との接触点を二重三重にしておくことはあらゆる場面での危機回避策として必ず役に立つ。
 今日親密にしている人も、明日はどこかに行ってしまうかも知れないし、出世して重要な地位に着くかも知れない。そんな時でも商売や損得を超えた付き合いができていたら、たとえその人が遠くへ行こうが縁はつながるし、相手がどんなに偉くなっても粗末にされることはないだろう。
 人から受けた恩は忘れるな、と言われるが、自分が今日あるには多くの人の世話になったことも思い起こせるだろう。
 こういうと「商売をやっていれば相手は良い人ばかりではない。絶対に許せない天敵のような奴もいる。」と反論を受ける。おそらく誰でもそうだろう。しかし、そういう人との確執や争いが無かったらあなたはここまで奮起しただろうか。「あいつにだけは負けたくない」という思いがあなたに力を与えてくれたのではないだろうか。これを先人は「逆縁もまた縁」といった。
 そうしてチェックした人脈の曼陀羅図を模造紙などの大きな紙に書いて、いつも見えるところに張っておこう。やがて漱石のこころがわかってくるだろう。

(図−1)

人への投資(共育投資)

 中小企業にとって最も重要な経営資源は人であるということを再確認し、人への先行投資を積極的にしよう。
 買い手市場であるはずのこの就職難の時代でも、中小企業では優秀な社員を採用することは難しいし、辛うじて採用した社員は即戦力としてフル活用しなければならない、と多くの経営者が嘆く。しかし、はじめから優秀な社員はいるのだろうか。
 社員の出来が悪いことを嘆く社長がいると「その社員を採用したのはどなたですか」と聞くことにしている。
 自分は優秀で社員はだらしがないと思っているのが、いかに思い上がった考えかを、私も師匠から指摘されたことなので、身をもって体験している。そこに気がついたときに初めて謙虚になれる。自分自身がそれに気付いてさえいれば駄目な社長の下でこそ優秀な社員が育つ可能性が高いといえる。
 じつは社長の教育が一番先に必要だと言われるのはそんなところにある。
 社長が自分の教育をせずに、他人を頼んで社員教育だけをすると、いつしか社員は社長の欠点がはっきり分かるようになる。そして、その社員は社長を見限ってよその会社へ移って行くか独立して行く。
 だからこそ経営者も社員と共に常に研鑽をし、自分だけでも駄目、社員だけでも駄目、双方が同時に成長して行く覚悟をもって教育に当たれるようになると、その時点から漸く社員も心を開いて、経営者と一緒に悩み・苦しみ・喜んで働くようになる。※注1

参照:共に育つ PartT、U:
(中小企業家同友会全国協議会編)
東京都文京区大塚5-40-8天風会館
電話 03-3943-0571


大きな夢を語れるか

 経営者が自分の人生を賭けた大きな夢を持ち、それを語り続け、それに共鳴する社員が一人でも多くなって行けば必然的に相互理解は深まって行く
 誰にとっても人生を賭けるほどの大きな夢はそう簡単に見つかるものではないだろう。だからこそ繰り返し繰り返し「これで良いのか」と確認しながら夢の質を高めてゆく。
 それが経営者の大きな役割の一つである。
 昨年行われた中小企業基本法の改正により国の中小企業政策が大きく転換し、その方針が「上層育成・下層淘汰」になったことは明白である。
 あなたが経営者なら決して淘汰される下層になってはいけない。精一杯工夫と努力を重ねて、育成される側である中小企業の上層部分に位置しなければならない。社員であれば会社にとって不要だと首切りの対象になってはいけない。
 そのときに忘れてならないのは、「自分が切り捨てられなければそれでよい」というところで留まらないことだ。
 大きな夢を実現させるためにも、お金は儲けなければならない、自分の会社は利益を出さなければならない。その上で、仲間である他の中小企業に仕事が出せれば、また一社「上層」に向かって走り出す企業が生まれ、社会が活性化される。


今、国を支えるのは

 故ケネディ大統領の就任演説の一節にまつまでもなく(注2)、まさに今、日本という国は我々一人一人が主体的に動き出すことによってしか再生され得ない時代になってきた。
 高杉晋作の辞世の歌といわれる
「おもしろき こともなき世を
         おもしろく」
という上の句がある。この後に是非あなたの素晴らしい下の句を付けて頂きたい。


※注2
 Ask not what your country can do for you
 -ask what you can do for your country.
 J.F.K.Jan.20.1961.



中央会計事務所
税理士 細野知久
  〒179 東京都練馬区早宮2-17-37
TEL03-3933-0266 FAX03-3931-4400