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経理実践トレーニング 経営計画編 vol.12 無借金経営への道程 12 人への投資 昨今の閉塞感を脱せない経済状況や、会社に不祥事や事故が起きたときの経営トップの対応の まずさ、または警察や中央省庁など官僚組織における責任回避姿勢などに現れている社会的現象 を見るに付け、我が子等に残す日本はこのままではいけないと痛感する。 僅か55年間という拙い人生経験の中ではあるが、振り返ってみると戦後50年を過ぎた辺り から日本の社会が少しずつおかしくなってきたようだ。 その原因の一つに、多くの創業経営者がその創業から30年〜40年経つのに、唯ひたすら頑張 ってまだ自分で何もかもやって行こうとしていたことが挙げられる。 後継者が育たないのは、一番重要な「人」への投資を怠ったからなのに、それを棚に上げて 「ろくな奴が居ない」と嘆いていなかっただろうか。 後継者の育成が我々の責務 「児孫のために美田を買わず」という言葉の通り、子育てに重要なのはその子が困らないだけの 財産を残すのではなく「自分の力で道を切り開き、生きて行く」ことを教えることにある。 いくら「儲かる会社」をつくっても、それが永遠に続くことはない。あるとすれば、駅伝のように 次々とバトンを渡しながら各走者が全力を尽くすことによって成り立つ。 企業は大海を行く小舟のようなものである、荒れ狂う海でどう対処するかは経験しなければ 分からない。企業の存続を賭けた資金繰りまでの全てを経験させなければ経営の本当の苦労は体得 しがたい。 「分かった」ということは「出来る」ことだと子供達に教えることがある。頭の中では理解できて も具体的行動にそれが表れない限り分かったとはいえない。 創業者に充分余力のあるうちに、後継者に体得させるべく厳しい試練を与え、かつ温かく見守って いけなければ人は育たない。 多くの教育熱心な親が間違いを犯したのは、学校の偏差値教育で良い成績を上げ、良い大学・良い 会社へと向かわせ、組織の中で昇進を願うことを人生の目標として教えてきたところにある。人生の 目標をお金や地位に置くと思わぬ落とし穴が待っている。 その象徴的な事例がある ある省に就職した人が、その省の次官になり定年退職をし、退職後の天下り先を確保されることが 人生設計の大きな部分を占めていたとする。 しかし「省庁再編」で消えて行く省庁では、次官の地位を目前にしてその目標たる次官の椅子がな くなることは人生そのものの目的が無くなることに他ならない。 あなたの子供や部下をそんな価値観で育てていなかっただろうか、と振り返って欲しい。もしその とおりだとすれば、それは誤った指導だったと私は断定する。 これらの発言は全て自分の失敗を反省する自戒の念から発した言葉であることを表明して、無礼を お許し頂きたい。 物に心があるか(人+もの) 経営資源は人・もの・金・情報と言われるが、その中でとりわけ「人」が大切だと言われるのは、 他の経営資源はそれ自体単独では機能せず、「人」という土台があってはじめて、「もの・金・情報」 の持つ力が活かされるからだ。 実際によくある例で、Aさんが使うとうまく動くのにBさんが使うと途端に故障したりエラーが 続出したりすることがあり、冗談に「機械に嫌われているんだよ!」と言うことがある。 事実、会社を訪問し、故障が多い機械の利用状況や置かれた環境を見ると大概は機械が汚れて いたり、周囲が散らかっている。 反対に効率よく動いていて故障の少ない機械は、きれいに磨き上げられ、作業環境もキチンと整理 整頓が行き届いている。 工場や事務所が整理整頓できていると、必要な工具や書類がすぐに取り出せ、作業効率が上がる、 作業にミスが無くなる、事故が激減するなどその効果はすぐに現れる。 これは、言葉を換えて言えば「ものに心が注入されている」状態である。 作るもの(製品・提供するサービス)仕事場で使うあらゆるもの(機械・設備・工具・車両など) に「愛情」を振り注ぐことを励行しよう。 それができる人を育てるには、経営のトップに立つ人間が充分に「愛情」を与え続けられる人格に なっている必要がある。 商品企画を担当する方や技術者には、物づくりに愛情を注ぎ込むあまり、思い入れが強くなり過ぎ て技術偏重に陥り「良いものを作れば売れる」と盲信しないようにご注意いただきたい。 戦後まもなくの物資の少なかった時代ならともかく、現在のように巷に物があふれかえっている 時代には、どんなに技術の粋を集めて作ったものでも、顧客のニーズに合わないものは売れない。 その誤りを犯さないためには「May I help you」の精神で、顧客の困っていることを解決するのが 我が社の仕事だと認識する必要がある。そのために持っている技術力をいかに発揮するかと思考パ ターンを変えることが重要である。 中小製造業で大手企業の生産設備を作っている会社があるが、その種の企業が成功している ケースでは、「どうしたらお客様の役に立つ機械になるか」に腐心し、日々さまざまな工夫を凝らし、 客先で困っていることの改善に自社の技術を生かしている。 若者が憧れる上司になろう 若者にとって憧れの対象を持たないことは不幸である。それが我々の目から見て取るに足らないと 思われるような人物でも、無いよりはあった方がよい。もしその対象が本当に大したことがなければ 簡単に凌駕し、次の憧れの対象を求めて又苦しめばよいのだから。或いは乗り越えられるのがあなた 自身であるかも知れないが、それはむしろ喜ばしいことと考えよう。 禅宗に「隻手音声」(せきしゅおんじょう)ということばがある。 「人は人と出会い、ぶつかることの中でこそ生きている」のだから、人と衝突することを恐れずに 自分の意見をはっきり言おう。 もし自分の意見が間違えていれば大きな反動が起きるから、そうしたら素直に謝り、正せばよい。 その時あなたは一回り大きく成長するチャンスをつかめる。 あなたの所属している組織がおかしいと感じ、良くしたいと思ったら、馘首になることなど恐れず にはっきりとものを言おう。もしあなたが言わなければ、その組織はますます悪くなり、いずれ潰れて あなたもそこに居られなくなるのだから。 |
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