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経理実践トレーニング 経営計画編 vol.14 無借金経営への道程 14 経営の基本は現状把握 IT革命とか情報革命とかいう言葉が氾濫しているが、企業経営にとってコンピュータや インターネットを中心とした情報通信機器の発達や通信技術の発達はコミュニケーション手段 やデータ処理手段としての道具の発達だと冷静に捉える必要がある。物質的な条件さえ備えれば経営が 上手く行くかのごとき宣伝に惑わされないで欲しい。 企業経営が成功するためには、あくまでも経営の基本に忠実に自社の社会的使命を達成することに あることを改めて強調しておきたい。 「マエストロの会」という全国から中小・中堅企業の経営者が集う勉強会がある。この会では、 企業経営は「戦争」に例えることが出来ることから、梅谷忠洋先生に講師をお願いして「孫子」を学 んでいる。その各篇が人間世界の神髄を示し、企業経営に貴重な「指針」を与えてくれる。 「孫子」といえば必ずといって良いほど引用される言葉に、 「彼れを知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず。」 というくだりがある。これには、 「彼れを知らずして己を知れば、一勝一負す。」と続くのだが、 中小企業の経営に身近で関わっていると、多くの経営者が、更にこの後に続く、 「彼れを知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。」 の状態で経営している現実を思い知らされている。 敵を知るどころか、敵が誰であるかさえ誤り、まさに、五里霧中で自分の置かれた状況が分からずに 戦っている経営者が多いことに驚き、これだから、中小企業の7割が赤字経営を強いられているのだと 実感せざるを得ない。 「敵を誤る」ケースでは後継者問題が一番多く挙げられる。 本来は力を合わせなければならない親子が自分の主張を通そうとして譲らずに経営を悪化させている。 多くの場合、コミュニケーション不足か、相手の意見や主張の全部を聞かずに自分の主張を述べ始め、 後で多くの部分で同じ意見であることが分かったにもかかわらず、一旦対立した感情を納めることすら 出来ずに、無意味に対立してしまっているのが実状である。 力を合わせるべき味方を敵と勘違いしているようでは論外だが、他人事と思ってはいけない、 あなたもそうかも知れないのだから。 「彼を知る」には 敵をしっかりと見定めるには、まず、「敵」をどう定義するかを考えよう。その上で、徹底的に相手 の立場になって「相手だったらどう考えるか」という視点でものを考え、その攻略方法を考えるのが近 道だ。 企業経営において戦(いくさ)に勝つとは、お客さまから圧倒的な支持を受けることを意味する。 孫子は「最良の方法は戦わずして勝つ」ことだと言っているが、その基本理念を見失うと、無駄な 戦力を投入して多くの死傷者を出すことになる。これを企業経営に例えれば、的はずれな方向に力を 注がずに、企業経営の基本理念に立ち返り、自社の社会における役割をキチンと果たすことだといえる。 お客さまから圧倒的な支持を受けるには「媚びへつらうことなく、お客さまに好かれる」ことが肝要 である。 「媚びへつらう」ことのくだらなさは、バブル景気の最盛期に接待・饗応で仕事を取っていた営業担 当者や企業が今どうなっているかを見れば、答えは明白である。また、バブル崩壊後の状況の中では、 価格競争に陥って値下げ競争に走った企業の業績を見てもそのやり方が誤っていたことも明白である。 価格競争で戦わなければならないのは、貴社がまだお客さまにとって欠かせない存在になりきっていな い(言葉を換えて言えば、他の誰でも良い)証拠である。 媚びへつらうことなく堂々とした態度で商売を続け、且つ、利益を出すにはその後ろ盾として「技術 ・品質・誠意」を据えた上で、どうしたら我が社から購入してもらえるかの一点に集中して考える。 製造業であれば「自社の製品を使っていただく」、大量生産の商品を多く扱う卸・小売業であれば 「よそで買わずに我が社から買っていただける」、サービス業なら「我が社を使っていただく」ことに 感謝できるかにそのポイントがある。 感謝する気持ちがあれば必ず「お役に立ちたい」という気持ちが湧き出てくるはずである。 「感謝はしているがそんな気持ちになれない」というのは、口先だけで「感謝している」と言って いるだけで、心の底から感謝などしていない証拠である。 お客さまが我が社を支持してくれるにはそれなりの理由があるはずである。我が社の製品・商品や サービスがお客さまの役に立っていることが分かればそれに応えようとするのが人情である。情報は 「情け」に「報いる」と書く。中小企業の情報革命はそこをスタートにして欲しい。 日常の仕事の中で、社員の一人一人が、個々の場面でどうしたらお客さまの役に立てるかを、自然に、 自発的に考えられる状況が出来ている、そんな企業なら自然と売上も増え利益も上がってくる実例をた くさん見ている。 孫子にも「戦争の上手な者でも、相手が自分に勝つことが出来ないという態勢を作る事が出来ます が、我々が敵に勝つようにすることは出来ません。」とある。(*梅谷忠洋訳 軍形篇一) いう心は、最終的に選ぶのはお客さまである。全力を尽くしたら、後はお客さまの判断を待つしか ない。その結果売上が伸びなかったり利益が出なかったりすれば、「まだ工夫・努力が足りない」 と更に工夫・努力を重ねることが大切である。 「利益は社会貢献のバロメータ」というとおり、お客さまの役に立たなければ利益はでないのだ。 だからこそ私は、日頃から「赤字会社は社会悪」という厳しい表現をしているのだ。 「己を知る」ことの難しさ 誰でも自分のことは自分が一番良く知っていると思いがちである。 また、同様に自分の会社のことは自分が一番良く知っているとも思いがちである。 しかし、そこに大きな落とし穴がある。その場合概して「知っている」のではなく「自分はこう思っ ている」に過ぎないことが多い。 他人のことはハッキリと分かるが自分のことはそれほどは見えていないのが普通である。 試しに、あなた自身が「お客さま」になって買い物をしたり、食事に行ったりする「ここが良い、 ここが悪い」と判断を下すことが出来る場面で、その企業の経営者に「好意を持って」そのことを言 ったら、その一言は、貴重なアドバイスになるだろう。ところが、多くの場合その時には自分のこと しか考えずに、「悪意を持って」「文句を言う」から、他人のことを自分のことに置き換えて考える ことが出来ないのだ。「人の振りみて我が振り直せ」とはこのことを言うのだ。 ここに我がマエストロの会で梅谷先生がよく言われる「凡人六原則」がある。 1.自分が正しい 2.楽が出来る という間違いを犯す。 3.比較概念 4.時間概念 の能力で他を差別化する。 5.一事が万事 6.類項作用 の性質で変化を恐れる。 これらの原則は、企業の中でも同様に働いているのだが、一旦その中に入ってしまうと見えなくなる 性質を持っている。 それを超えて、正しい自分又は自分の会社を「知る」には、それを歯に衣着せず的確に 「好意を持って」指摘してくれる人を常に自分の近くに持つことが大切になる。 あなたのすぐそばにそんな大切な人がいるのを見逃していませんか。 参考文献 岩波文庫「孫子」金谷 治訳注 * マエストロの会 連絡先 事務局 上山恒人 FAX 0574-64-0524 tsunesan@f6.dion.ne.jp *梅谷忠洋先生 M&Uスクール学長 連絡先 mus@senzaiishiki.gr.jp http://www.senzaiishiki.gr.jp/ |
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