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JDL Avenue vol.2 9705
資金繰り編U vol.1

資金繰りを良くする経営 1


不況下でも利益の出ている会社

このデフレ不況の時代でもすべての会社が赤字なのではなく、不況業種といわれている 業種でも儲かっている会社はある。「利益は社会貢献のバロメーター」という観点からも、 こうした企業に見習うべきことは多くある。
儲かっている会社の特徴は、マーケットが激しく変化している中で、時代の変化に即応し、 仕事のある方へ会社を(企業の行動を)動かしてゆく、更に一歩進んで新しい形の仕事を 作り出して顧客に提案するなど、自らマーケットを作り出す努力を続けている。
 資金繰りという側面からは、今でも多くの中小企業は自己資本の数倍から数十倍の銀行 借入金と企業間信用(買掛金・支払手形など)に頼っているが、この不況下で利益を出し ている会社は「借金上手は会社をつぶす」ことをしっかりと認識して、究極の「無借金経営」 を目指し、既にキャッシュフロー重視の資金繰りに方向転換を図っている。
 つまり借入金の返済は利益の中からしかできないことを再確認し、1年間に返済すべき 金額と目標利益のバランスを明示し、その実現に的を絞って行動をしている。(図−1参照)

図−1 借入金返済可能額の考え方

企業と全社員の「目標」と「責任」

 資金繰りを良くするには社長や経理部長だけがんばってもだめで、やはりそれぞれの 部署が職責をきちんと果たすことが資金繰りの改善につながる。
 長野県伊那市の固定抵抗器メーカーのKOA(コーア)では、倒産寸前の危機から多 くの試行錯誤の後に「分業の否定」に到達し、受注から、生産、品質保証、配送までの 作業を20人程度の「ワークショップ」組織で一貫してこなすことで、完全な「原価管理」 ができ「効率経営」の実をあげている。同社は「売れないものは作らない、作ったもの は赤字で売らない。一方、徹底して無駄を省くことで、業界一のコスト競争力を維持」 しているという。(日経BP社「なぜこの会社が強い」参照)
 つまり資金を考えることは経営全般を考えることにつながり、経営者にとって「全社員 の意識を変える為に何をすべきか」を考え、全社員に自分がやるべき仕事が何かを明確に する、「目標」と「責任」を明確にすることが大切になる。
 そして「目標」通りにできたらしっかりと誉めて、言葉だけではなく給料にきちんと 反映させる。反対に、不良品を出したり貸し倒れを発生させたりして会社に損害を与え たら、叱るだけでなく、これもまた給料を減額するなどはっきりとけじめを付ける、と いうように信賞必罰を徹底する。
 大手企業では最近になって「年俸制」などと言われているが、中小企業では「社内外注 制度」と呼ばれ、かなり前から同様のことが行われているのを忘れていないだろうか。 現場でそれだけ厳しくするからには、部長や役員クラスの責任の取り方が問われる。 その評価の基準を明確にし、事業年度ごとにハッキリと評価する必要が出てくる。 業績を上げられない部長・役員の解任は当たり前のことになる。
 そこまでやると、今度は社長自身の責任の取り方もハッキリさせなければならないが、 元々中小企業は「個人保証」という形で全財産を担保にして銀行から借金をしている。 また、「社長が死んだら会社は駄目になる」おそれがあることから、会社で多額の生命 保険に加入してまで、文字どおり命を賭けているのだから、会社が倒産すればその全責 任は社長が取ることが前提になっている。
 このことを全社員に明確にしておくことも大切である。

意識改革は社長から

 私は日頃から「社員の意識は社長の意識の反映」と申し上げている。
 上記のような各部署の「目標」と「責任」を明確にする経営を実現するには、社長自身 の「目標」と「責任」を明確にしなければならない。社長の意識が変わらなければ、社員 の意識も変わらない。
 中小企業では社長が、トップセールスマンであり、製造の責任者であることが多いが、 「代表取締役営業部長」や「代表取締役工場長」ではいけない。
 社長は、常に会社の全貌を把握し、会社の進むべき道を示し、会社の現在地を社員に知 らせることが出来なければならない。その為には、社長自身の言葉で、社員に簡単に説明 できなければならない。できることから始めるという意味では、最低でも月次決算をし、 社長が図解損益計算書を体得することで社長自身が「会社の現在地」を知り、「今、何を すべきか」を社員に伝えることが出来る。(図−1参照)

目標付加価値と固定費・変動費の捉え方

 企業経営を継続していると、よほど大きなリストラでもしない限りその時点での固定費 は大体決まっている。むしろ、人を増やせばお金が要る、設備を増やせばお金が要る、と 新しく何かをしようという経営者の意志決定は全て固定費の増につながる。従って、固定 費は常に増え続けていると考えておかねばならない。図−2で示すように目標利益+固定費 で目標付加価値が決まる。

図−2 損益計画の手順      参考:人事屋が書いた経理の本/ソーテック社

それをどうやって稼ぎ出すか、
×
どの商品を   どれだけ売るか
を具体的に決めてゆく。

例えば、業種ごとでは

 ・小売り 単価1万円の商品×Q(月間5,000個)
 ・卸売り 単価3,000円の商品×Q(500社×100個)
 ・製造業 単価300万円の機械×Q(30台)
 ・加工業 MC1台1時間当たり加工賃×Q(稼働時間)
 ・サービス業 1人月50万円の受注×Q(延べ人員)
 ・飲食業 客単価3,000円×Q(来客数×開店日数)

のように発想する。
また変動費にはP×QのQ(数量)の増減に応じて変化するものだけを入れることをお奨 めする。
 経営分析のテキストで変動費に区分している多くの勘定科目の中から、経営計画を立て る上で変動費に入れて良いのは、

 ・小売り・卸売り業なら 仕入高
販売手数料
発送運賃
 ・製造業では 材料費
外注加工費
 ・建設業なら 工事原価
販売手数料
 ・飲食業なら 食材費

など、ごく限られた費用だけに限定しないと、決して利益の出る経営は実現できない。


中央会計事務所
税理士 細野知久
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