[表紙へ戻る]


日本国憲法

金融アセスメント法


企業理念
My Opinion
経理の質問箱


週間Qup通信
経理実践トレーニング
如是我聞
宮本孝の金融教室
野口レポート


私の本箱から
Let's Study
Let's Enjoy
リンク集
プレゼント
BenefitStationロゴ

JDL Avenue vol.5 9711
資金繰り編U vol.4

資金繰りを良くする経営 4


大きく変わった銀行の融資姿勢

 高度経済成長政策以後の日本では、インフレを前提とした経済理論が当然の こととされてきたが、今、時代は大きく変化しデフレ経済に転換した。
 同時にバブル経済の崩壊以後、中小企業に対する銀行の融資姿勢も大きく 変わった。具体的には「転がしの手形貸付を一度返済してください。長期資金 として又お貸ししますから」と言われ、その言葉を信じて返したら「本店の審 査が通らない」と言って貸してくれない、といった状況が平成3年の後半頃か ら頻繁に発生するようになった。
 これは、銀行がバブル経済期の担保至上主義に起因する過剰貸付の整理に回 ったことが原因である。
 バブルの崩壊により担保物件である土地の時価が大きく下がったのと同時に、 銀行が貸付の安全性を高めるために担保評価をする上での掛け目を下げたこと の両方が重なって、銀行側から見た場合に従来の貸付金額のままでも過剰貸付 となり、担保不足となった。その担保不足となった部分を回収しようと、新規 貸付は言うに及ばず、従来の短期資金形態で貸し付けていた通称「転がし資金」 という貸しっぱなしの資金の回収を始めたのである。
 インフレ時代には土地の担保価値が右肩上がりになっていたので年々貸付枠 が拡大していたが、これからは貸付枠が自然に拡大することはないと思わなけ ればならない。
 技術系の経営者や営業畑の経営者はしばしば「経理は苦手だから」とおっし ゃるが、今後は「中小企業の資金繰りが厳しい根本原因はインフレ経済を前提 とした過小資本経営にある」ということを、技術系であるとか営業畑であると か言い訳をせずに、経営者としてしっかりと認識してほしい。
 資金繰りの楽な企業を目指すことの究極は「無借金経営」を実現することだ としっかり認識し、その道程にある一つ一つの難局を乗り越えていかなければ ならない。
 従来の「資金繰り=銀行借入」の発想から一日も早く脱却し、安易に銀行借 入に頼らず、その上で銀行借入の活用の仕方を考えることが重要である。

どの方法で資金調達が可能ですか

図−1 貸借対照表 貸方は資金調達資源

 図−1の様に資金調達方法には2つのパターンがある。
 自己資本を増やすには、
1.払込資本を増やすか、
2.利益の約半分の税金を払った残りをコツコツとためる以外に方法はない。
1の払込資本を増やす方法には、企業の経営姿勢などに応じて
 1.同族株主が増資に応じる
 2.従業員持株会などを作り社員が払い込む
 3.第三者割当によりベンチャーキャピタルや投資育成会社等が払い込む
等がある。企業の内容が良いか将来性が見込まれれば払込み人には事欠かない。 しかし多くの中小企業は第三者が積極的に払い込みしてくれることを期待できない。

 となると、2つ目(他人資本)の借入金に頼るか、企業間信用を活用するし かない。ところが銀行借入は上記のような状態で新規借入を申し込んでも、 そう簡単には貸してくれない。これも、業績さえよければ銀行借入ばかりでな く社債の発行もできるなどの道も開けているのだが。
 企業間信用もまた資金調達の一つの方法である。買掛金は商品という形で 借入をし、支払手形は数ヶ月後に支払う約束をすることで資金調達をしてい るのだ。銀行借入と違い無利子で資金調達が出来るのが大きな特徴だ。手形を 使う場合には、決済資金の見込みが立たないのに安易に発行する危険性が大き いことに充分気を付けなければならない。企業倒産の大半が不用意に切った手 形が不渡りになるパターンだということを肝に銘じておいてほしい。
 また業績の良い企業ほど「融通手形」に巻き込まれないような注意が必要で ある。融通手形が原因の倒産の多くはわずかな金額を貸したことから始まって いる事実を忘れないでほしい。手形詐欺の常習犯は、常に優良企業でお人好し の経営者を狙っている。

経営はバランス感覚

図−2 貸借バランスの基本パターン

 経営はバランス感覚と言われるが、資金繰りの分野で言えば、貸借対照表の 借方(資金の使い道)と貸方(資金の調達源泉)のバランスをとることが、 経営者の仕事である。
 こらからは足りない部分は借りればよいという発想を捨て、貸借のバランス を改善しながら資金繰りを少しずつ楽にしていかざるを得ない。この貸借バラ ンスの改善は究極の「銀行を頼らない資金繰り」になる。
 ここに申し上げることは全て皆さんが十分ご承知のことばかりだが、現実の 経営の中でいかに出来ていないかということも気付いていただきたい。
 「当たり前のことを当たり前に但し徹底的にやる」これほど簡単で且つ難し いことはない。
 まず営業債権と営業債務のバランスを取ることが大切だが、それは「売掛金 と買掛金」「受取手形と支払手形」のバランスを取ることである。その為には、 営業を仕掛ける段階からその組立をしなければならない。小売・卸売業のよう に個別の対応関係がつけにくい場合には、売上の締め・支払いの条件を少しで も仕入れのそれよりも良くしておかないと、ただでさえ仕入れが先行し在庫を 抱えることを考えると、資金繰りが悪くなることは誰が見ても明らかである。 だからこそ「売上金額」や「粗利益の確保」のみに囚われずに「回収条件」 までしっかりと交渉しなければ一人前の営業マンとは言えない。
 受注生産の製造業や建設業は、個別に入金と支払いの対応関係が明らかにし 易いのだから、もっとシビアにバランスを取れるはずである。であるにも関わ らず建設業の資金繰りの悪さは目に余るものがある。これも全て受注段階から の綿密な計算と交渉がないことに原因がある。

 設備投資資金の調達と返済の基本原則は、決算期ごとの減価償却費と借入金 の元本返済額が同額になれば、貸借バランスは崩れない。ただし土地は減価償 却が無いのでその購入資金は利益からしか返せない。

[表紙へ戻る]
[企業理念] [週間Qup通信] [月間経理実践トレーニング]
[私の本箱から] [Let's Study] [Let's Play]
[井戸端会議] [経理の質問箱] [プレゼント]

中央会計事務所
税理士 細野知久
  〒179 東京都練馬区早宮2-17-37
TEL03-3933-0266 FAX03-3931-4400