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JDL Avenue vol.6 9801
資金繰り編U vol.5

資金繰りを良くする経営 5


「銀行も倒産する時代」の経営

 ここ数年銀行の中小企業への貸付金の強引な回収や貸し渋りがますます激し くなり大きな社会問題となっている。その一方で、収益力のあるところへは積 極的に貸したいのが銀行の本音だと知ってほしい。
 2001年の金融ビッグバンを控え、98年4月から導入される「早期是正措置」 が銀行を襲い、それが中小企業に跳ね返ってくることが充分に予想される。 現在でも多くの銀行は自分自身を守るのに精一杯で、他人のことなどかまって いられない状態なのだが、今後は更にその状態は厳しくなってくる。
 銀行の融資姿勢はバブル経済の崩壊後「担保至上主義」の破綻により、いわ ゆる「金繰り返済」を認める考え方から「収益弁済」しか認めない方針へ完全 に転換してしまった。そのことを前提に資金繰りを考えなければ、経営は成り 立たなくなって来た。
 たとえば、従来なら毎月百万円・年間1,200万円返済したらその分だけ空き 枠が出来て又貸してくれていたのが、今では担保の土地は値下がりをし、空き 枠が出来るどころか逆に担保力が不足してくる始末である。この様な状態では、 銀行としても担保至上主義は捨てざるを得ず当然のごとく「収益力」のない企 業には貸付など出来るわけがない。また仮に担保余力が有っても「収益弁済」 以外は「本部が認めない」と言えば「そうですか」と引き下がらざるを得ない。 だからこそ企業は事業計画や新商品の開発あるいは具体的な売上の増加等によ り「収益力」を見せなければ資金を引き出せない。

図−1 担保主義の考え方

図−2 担保主義の破綻

一行取引は要注意!

 もしも一つの銀行とだけ取引をしていて、その借入をしている銀行が倒産し たら、その時点で預金と借入金は相殺され残った借入金は約定通り返済しなけ ればならないと考えておいた方がよい。貸付金の回収だけで新規貸付の業務を 行えないのが倒産した銀行の姿である。
 銀行の倒産の影響を回避するためには、一行取引を早急に改め、事業規模に 見合った、且つ倒産しそうでない銀行との取引もしっかりとしておこう。
 銀行の資金供給に期待が持てなくなったら「自助努力」による他はない。 中小企業の社長が会社が儲かると給料を大幅に上げるのには訳がある。利益を 出してそのままにしておけば半分は税金として消えてしまい永久に返ってこな いが、所得税が高くなっても自分が給料で取っておけばそれを全部使ってしま うわけではなく、いざ資金が足りなくなったらそこから会社に資金の供給が出来る。 その際に知恵のある経営者は個人預金は会社と取引のない別の銀行でプールし ているのをご存じだろうか。「自己責任」が絶対条件となる規制緩和の時代に は、資金繰りの面でも自分のことは自分で守る姿勢が要求されている。


固定費の小さい経営スタイル

「山を崩す」為のアウトソーシング

 昨今の上場企業の倒産を見てお分かりの通り、固定費の多い大企業ほど外部 の経済環境の激変により倒産しやすい。反対に事業規模が小さく固定費の少な い中小企業には不況の状態が長引く時代こそ生き抜くチャンスがあるといえる。 まさに時代の転換点にある今こそ「中小企業の時代」だと言えよう。
 しかし今以上に固定費を削る努力は必ずしなければならない。中小企業だか らと言って今の固定費で満足していては決して生存競争に勝ち抜くことは出来 ない。
 固定費を少なくする工夫の一つに「仕事の山を崩す」ことが挙げられる。 多くの企業を見ていると、従業員との余計な摩擦をさけるためかその大半は 仕事のピーク時に合わせて人員を配置する傾向がある。ここは経営者と従業 員の利害が一番大きく対立する部分ではあるが解決策がないわけではない。
 製品・商品の納期が集中する、年度末に仕事が集中する、締め切り日の関係 で月末から月初にかけてピークができる、などの事情で、たとえば請求書の発 行の為に毎月担当者が残業をし、その間にたまった仕事をこなすのにその後何 日も残業が続くという状態が起きることがある。経理部門で早くから売掛管理 とりわけ請求書発行業務をコンピュータ化してきた大きな要素の一つに、この 「山を崩す」ことが挙げられる。
 病院では早くから健康保険の請求業務を外部に委託してきたが、人材派遣業 が一般化してきた現在の状態ではもう外部の力が必要不可欠の業務となり、現 実にその業務を中心に店頭公開をした企業がある。
 常時繰り返される仕事の集中の山をいかに崩すかが固定費を大きく削減する 重要な要素であり、その為のアウトソーシングは積極的に使うべきだろう。 また反対に自社の業務に関連してお客様の「仕事の山を崩す」お手伝いとなる アウトソーシングを受注できないか検討するのも重要な販路拡大のポイントに なる。

 ネットワーク経営

 もう一つ、固定費の小さな経営として最近目立って増加しているのが「小さ な組織・大きなネットワークで仕事をする」経営スタイルである。
 このシリーズで繰り返し言っているように、利益と資金繰りは仕事を始める 前に決まってしまう。無計画に動いたのでは決して継続的に利益出せない。 それには企業の経営形態を、儲かるような仕組みにすることである。
 これを実現するには、
  新商品の企画
  商品の設計
  製品の製造
  商品の発送
  商品代金の回収等
それぞれの分野で仕事を特化する必要があり、その仕事に参加する企業や個人 の高い専門性が要求される。それぞれの仕事は独立して実行されその成果配分 は、しっかりとした契約により精算されるのだが、コンピュータネットワーク の発達や物流システムの変革等により、全体の仕事はあたかも一つの会社のよ うに地域の制約を越えて達成できる。
 この様な経営形態が増えるといわゆるSOHO(Small Office Home Office) が爆発的に増加することが予想される。この状態は取りも直さず中小企業がお 互いに有機的につながり、自分がやった仕事について責任を持ち、その分だけ 請求をし、支払いをする姿に他ならない。
 またこの様になることで、社会全体として大企業病に陥った会社が徐々に分 解し、中小企業の生き残る道が開かれ、固定費の少ないf/m比率の低い、経営 全度の高い経営を実現できると確信している。

*文中「銀行」とあるのは銀行・信用金庫・信用組合等を総称している

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