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経理実践トレーニング 資金繰り編U vol.8 資金繰りを良くする経営 8 ますます厳しくなる銀行の融資姿勢 金融機能安定化法案に基づく公的資金の投入にもかかわらず、銀行の貸し渋りや強制回収はますます 激しくなるばかりである。 その上心配していた銀行の貸出し金利の引上げがいよいよ始まってきた。多くの企業は業績の良くない ところへもってきて、借入金利が引き上げられるのでは、ますます業績が悪化するだろう。 孫子の言葉に「敵を知り己を知れば百戦してあやうからず」とある。 今、建前をかなぐり捨てて、本音でしか付き合えない状態の銀行の現状を再認識する必要があり、銀行が どのように考えて融資するかを知らなければ、楽に資金を引き出すことはままならない。その本音とは 「業績の良い、貸し倒れの心配の無い会社にしかお金を貸したくない」ということに尽きる。しかし所詮 それを判断するのはコンピュータではなく、窓口となる銀行の担当者や支店長である。 銀行内部で顧客の格付けが行われているのはご承知の通りだが、その内容を検討してみよう。 (図−1)
これは都市銀行で用いられているものだが信用金庫でもほぼ同様のものが使われていると考えていただ いて差し支えない。 これを見ると、従来経営分析などで取り上げられている定量要因つまり数値による分析項目である 1.安全性項目 2.収益性項目 3.成長性項目 4.返済能力 の他に数値分析要因でない「定性要因」にも2百点のうち3分の1を超える71点が配点されていることがわかる。 中でも市場動向・営業基盤に並んで経営者と経営方針には10点もの配点がされている。 このことから今後企業は銀行とどのように付き合えば良いかが判断できる。 市場動向は自社の努力ではどうしようもないところがあるが、営業基盤なら自社の営業方針と努力で改善 することができる。まして経営者の人柄や会社の経営方針は経営者本人の努力次第でその評価を高くしても らえる余地は充分にある。 何度も申し上げるように「利益と資金は仕事を始める前に決まってしまう」のだから、仕事をスタートする 前には繰返し計画を練り直すことが必要であり、しっかりとした見通しと決心の無いままにやるようでは成功 はおぼつかない。 まして融資の申し込みにいって「やってみなければ成功するかしないか分からない」などという状態では銀行 がお金を貸してくれるわけがない。 ものごとはやると決心した時に九分どおり決まってしまうという言葉をもう一度心に刻んでほしい。
経営理念の再確認 「あなたの会社の存在意義は何か?」真正面からこのような質問をされてすぐに答えられる経営者は少ない。 創業以来、そのことを充分に考える機会が無いままに経営をしていないだろうか。 あなたが会社を起こすには様々な動機があったと思うが、それが単なる私利私欲の域を出ていなかったとし たら、今からでも遅くはないからもう一度「何のためにこの仕事を自分の一生の仕事にしようとしたのか」を 真剣に考えてほしい。 その過程で、自分の創業の理念がはっきりしてくることがお分かりいただけることを確信している。 京セラの稲盛和夫会長は「動機善なりや、私心なかりしか」ということを言われる。 この問いに、自信を持って「イエス」と答えられたら、その上で、自分のやっている仕事が社会の役に立って いるという実感が持てる程に、他人からの評価が高まるまではじっとこらえてただただ努力するしかない。 今、時代は大きく変わっている真っ只中にある。この大変革の時代に我々がどうしても成さねばならない ことは、次の時代を背負う我々の子供や孫たちに問題を先送りをしない決意をすることだ。どの業種も戦後 50年の時代の流れから逃れることができない。大量の資金にものを言わせて強引に事業規模を拡大し、シェア を確保する手法が通じる時代は終わった。これからの時代は人を大切にし、物を大切にし、自分たちの生存基 盤である「宇宙船地球号」を大切にできない企業は淘汰されて行く。江戸から明治に変わった以上に大きな変 化が起きていることを認められない人はいずれ時代から取り残されて行くだろう。 今一番大切なことはあなた自身がどれだけ信頼されるかによる。商売そのものが物を売るのではなく、あな たという人柄を売ることに変化していることに気がつけば、この不景気の中でも確実に売上が伸びて行くこと が実証されている。 自分の財産が増えることに喜びを感じるのではなく、その仕事を通して他人が喜ぶ顔を見るのが生きがいと なっている社長のなんと魅力的なことか。そんな社長の経営する会社は必ず儲かっている。それは、そのよう な企業の社長は「会社の仕事=社長の人格」になっているからである。 私は「利益は社会貢献のバロメーター」と言い続けているが、知らず知らずのうちに上記の事柄を実践して いるから売上が伸び、利益が出てくるのである。 経営改善をする絶好の機会 企業は今までのように行政・親会社・会計事務所などに依存するのではなく、主体性を持ってそれらのもの を活用し、他に依存しない自律・自立型企業になる様に要求されている。 本来なら「銀行に依存しない経営」をすぐにでも確立させたいが、現状からすぐにそこへもって行くにはか なり無理がある。しかし、安易に借入れが出来ないこんな時こそ経営改善の努力をする絶好の機会である。 現在の中小企業の資金繰りが苦しい根本原因は、「戦後50年にわたって当たり前になっていた、インフレ 経済を前提とした過少資本経営にある」ことは既に明らかにした通りである。そのことを充分に理解した上で、 基本姿勢を「固定費を少なく、変動費率を大きく」に置きながら、具体的な資金繰りを良くする為の改善点の 掌握が必要である。 経営が赤字になっていれば資金繰りが悪くなるのは当然だが、黒字でも資金繰りが悪くなるのは、これまで に繰り返し述べてきた「借入金を返済能力以上に返済することによる資金不足」の他にもいくつかの原因がある。 たとえば 1.回収と支払い期日のバランスが悪い 2.在庫の持ち方に問題がある 3.固定費の支払いに無駄がある 4.設備投資が空回りしている 5.人員配置に無駄がある など数え上げればきりがないが、個々の企業で重要度が異なり、「自分の顔は自分には見えない」と言われる 通り自社の欠点は発見しにくいのでぜひ外部から客観的に見ることのできる税理士・公認会計士・あるいは中 小企業診断士などを主体的に活用し、銀行からの評価が上がるような良い会社を作っていただきたい。 *文中「銀行」とあるのは銀行・信用金庫・信用組合等を総称している
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