[表紙へ戻る] 日本国憲法 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
経理実践トレーニング 資金戦略編 vol.10 資金調達先で考える 直接金融の時代に備える 日本では個人の金融資産残高が1400兆円と言われ、その約54%が預貯金等、27%が保険等であるといわれていた。従来この預貯金は銀行から企業への貸付金として間接金融の形で利用されてきた。それに対し、直接金融の形で株式等を保有する割合はわずか19%だった。 国は直接金融の比率を米国並みに引き上げようと様々な試みを行っているが、一朝一夕には実現しそうにない。しかしその中でも、預金金利がゼロに近い状況が続いていることから、僅かずつではあるが確実に資金移動は始まっている。しかしその異動先は皮肉なことに株式ではなく保険等へとなっており、現状ではむしろ株式は株価下落に伴って相対的にその地位を後退させている。 (日本経済新聞平成15年6月16日) あなたは今の株式市場の状況の中で積極的に株式を買いたいと思うだろうか。日本の株式市場特有の「持ち合い」が未だ解消されていない状況では、個人投資家が、複雑化する証券税制を研究してまで積極的に株式投資を始めるとは思えない。どうも米国のように、個人投資家がインターネットを通じて、自分の勤務する会社と関係なく、投機的な株式取引をすることが一般的になるとは想定しにくい。 日本を直接金融中心の社会にするには、会社の利益と自分の利益が一致するような経営形態が多くなることで、過去に於いて多くの人が貯蓄に励んだように、多くの社員が自分の勤務する会社の株を買い、その結果として株式市場に資金が集まるような施策が必要なのではないか。一方に於いて、高度成長期に多くのサラリーマンが考えたであろう「私が勤めている会社は将来にわたり安心して勤められるか」という発想から、「私の勤めている会社は、社員と株主の双方を大切にするか」という発想へと、社員の意識が変化すれば、個人投資家が増えることは考えられる。 つまり、日本の株式会社の90%を超える中小企業が、事業規模を一定以上に大きくしたければ、従来型の社長一族の一人株主の時代から「みんなの会社」といえる「出資者は全員社員」あるいは「社員は全員出資者」というスタイル(言い換えれば、同族会社でない中小企業という形態)を確立する時代へと変化せざるを得ない状況に追い込まれるといって良いだろう。 創業スタイルの重要性 中小企業の資金戦略を考える上で、今までは経営方針との関連性を考慮する経営者は少なかった。 創業に当たり、我が社を将来どの様な企業にするかを考えると、自ずと創業資金の調達方法に変化が出てくる。 以前このシリーズで、「生業」「家業」「企業」と3分類をして、経営形態によって資金戦略が変わるということをお伝えしたが、これまでも「企業家」は創業時に、自分の持っているお金の範囲で資本金を決めるのではなく、きちんとした事業計画書を作成し、その事業を成功させるために必要な資金を見積もり、設立趣意書、目論見書などを作成し、多くの協力者を掘り起こし、その人々を株主として出資を募る形を取っている。 とりあえず会社を設立し、事業規模が大きくなってから「さて、今後の資金戦略は」と考えるのでは少し遅い。やはり、創業時にしっかりとした経営方針を打ち出し、それに沿った資金戦略を持って経営に当たるのが本来の姿である。今日のソニーがあるのも創業時にしっかりとした会社設立の目的と経営方針が示されていたことを忘れてはいけない。 (SONYの前身東京通信工業株式会社の設立趣意書)
1円でも株式会社が設立できることを中小企業挑戦支援法による特例ではなく、商法の改正により最低資本金規制を完全撤廃し、恒久化しようという動きがあるが、(日本経済新聞平成15年6月30日)筆者は、その方向には反対である。なぜなら、国の方針が間接金融中心から直接金融中心の社会へ移行しようと決まっているのに、「起業」のハードルを低くすれば廃業率よりも開業率が高くなるかのような安易で馬鹿げた支離滅裂な発想に基づく政策は、取るべきではないからだ。 開業率の低さの原因は別のところにある。 いくら起業のハードルを低くしても、その後の企業経営に、最低限必要な資金を調達しなければならない状況は変わらない。資本金が少ない企業は必然的に借入金に頼らざるを得ないことから完全に間接金融中心の経営スタイルへと逆戻りをする。 もし、それでも敢えて間接金融中心の経営スタイルを支援するのであれば、国は当然それに対応した金融政策を採る必要がある。その対応は、前回提案した疑似資本金的な貸付制度や、金融アセスメント法の制定などによる、地域金融の安定化・活性化策などである。 少人数私募債 中小企業における直接金融の一形態として徐々に浸透してきているのが、少人数私募債である。 少人数私募債は、仕入れ先や得意先を対象にその企業の将来性や経営者と企業の信頼性を基礎にして発行される。それだけに日頃からの経営内容の開示や、仕入れ先・得意先との良好な関係が重要である。 次に掲げる諸条件を満たせばすぐにでも出来るので検討の価値がある。
※参照 銀行に頼らない「資金調達」塩見哲著 (株)かんき出版 2001年11月12日発行 |
|||
|