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旬刊 国税解説速報 vol.38 第1450号 (平成10年11月18日) 掲載分
資産税のワンポイント・アドバイス第5回 貸家の目的で建築中の家屋に係る敷地の小規模宅地の特例の適用 税理士 細野知久
一.通達改正の起因 通達の改正により、租税特別措置法69条の3で規定する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「小規模宅地の特例」という。)の適用上の認定条件が緩和された。 国税庁は名古屋地裁の判決を受け“小規模宅地の特例”の取り扱いを定めた通達のうち措置法通達69の3−2「事業用建物等の建築中に相続が開始した場合」を改正した。 その判決とは、名古屋地方裁判所 平成10年2月6日判決(平成7年(行ウ)第45号)であり、裁判では @ 本件契約にかかる積極財産は何か A 本件契約にかかる積極相続財産、契約対象外土地及び西里町土地の評価額はいくらか B 本件土地(または契約対象外土地)に小規模宅地の特例の適用があるか否か について争われた。 三つの争点のうち三番目の「事業用建物等の建築中に相続が開始した場合」に“小規模宅地の特例”の適用を受けることができるか否かについての裁判所の判断が今回の通達の改正につながった。 二.裁判所の判断 被相続人に事業を再開する“態度”があったか否かが小規模宅地の特例適用のポイントであるとしている。 従来の通達では、相続人が被相続人の事業を承継しなければ相続税の課税価格を減額する小規模宅地の特例を受けることは出来なかった。 それに対し、判決では、「租税特別措置法の趣旨からすれば、相続の開始の直前においてはたとえ当該宅地が事業の用に供されていなくても、相続の開始の以前において事業をしていたが、相続の開始の直前においては、たまたま事業を中断していて、相続後も再び事業を再開することが認められる場合には、小規模宅地の特例の適用要件に該当するものとして、その適用を認めるべきである。」としている。 また、「相続後に再び事業を再開するか否かを現実に相続人が事業を承継した点に求める」との当局の主張に対して「被相続人が相続直前に当該宅地を事業の用に供していれば、相続人が現実に事業を承継したか否かを問うことなく、小規模宅地の特例が適用されることとの均衡からすると、そのように解するのは妥当ではなく、相続後に再び事業を再開するか否かはあくまで相続時点においてそのような態度が被相続人に認められるか否かによって決するべきである。」としている。 これを受けて新通達では小規模宅地の特例の適用について「当該相続開始直前において当該被相続人等の当該建物等に係る事業の準備行為の状況から見て当該建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったと認められるとき」は、事業用宅地等に該当するものとしている。 留意点 今回の判決により、小規模宅地の特例の適用については、次のような実務上の留意点の検討を要することになる。 @ 「相続開始の直前において事業の用に供されていた宅地」に直ちに該当しない場合でも、小規模宅地の特例の適用の可否を検討する。 A 駐車場経営の規模が小さくても「事業」にあたるかどうか検討する。 また、今回の裁判事案では、建築中の建物等の用途が不動産賃貸業であったことから「被相続人が相続後に再び事業を再開する“態度”があった」ことが容易に判定できたと思われるが、これが他の事業であったらどうなのか等の検討を要する。 |
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