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全郵政ジャーナル 2002年5月号

企業会計入門 1

はじめに
 これまでは、国や地方公共団体・公社・公団などの事業が実行される際に、予算を決めておいたお金を使う事があっても、その記録は「収支計算」としての記録でしかありませんでした。予算・決算が単年度の収支だけを見るとことから予算を使い切ることで翌年度も同程度かそれ以上の額を獲得しようという意識が働き、そのために税収が減った場合や国債や地方債という形で借金をしなければならないにもかかわらず、平気で予算規模が膨張してきてしまいました。

近年そうした公会計の不備が指摘され、地方自治体では「貸借対照表」を形成し、借金がどれだけあって財産がどれだけあり、その維持にどれくらいのお金がかかるのかといった検討が行われるようになりました。
 (参考・三重県の発生主義による会計 http://www.pref.mie.jp//YOSAN/plan/2001050085.htm)

 複数年度にわたって会計記録を付け、収支だけでなく財産(施設など)や債務(借金など)も見ることから、現在だけでなく将来にわたって長く広い見地から検討する必要性が叫ばれるようになってきました。
 郵政三事業も公社後は、企業会計原則が導入されます。民間の企業ではどのようにして会計を行っているかという実態を少しでも分かっていただくために、企業会計の原理・原則やそのもつ意味・機能などをできるだけ優しく解説していきます。

複式簿記の機能
 企業会計を理解するには、複式簿記の基礎的な内容を知っておく必要があります。
 中世の大航海時代に資金提供者である貴族などとその資金を元手に危険を冒して航海に出る船長との間で、一航海での成果の分け前を決めるのに使われたのが複式簿記の始まりだといわれています。
 お金を払えば、それに対する見返りとして物を受け取ったり、サービスの提供を受けたり、というように、一つの事柄には必ず二つの側面があります。
 複式簿記は、経済活動における二つの側面を左右(簿記の用語では左を「借方(かりかた)」、右を「貸方(かしかた)」といいます)に分けて記録することで、「財産・債務の管理」と「収支ないし損益の管理」が同時に出来るすばらしいシステムなのです。
 簿記の原理を知る上で重要なのは、「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」などの概念を理解する事ですが、それぞれの意味は次のような内容です。

《収支決算》
 単純にお金の出入りを記録する。

《企業会計》
 複式簿記により財産・債務の増減計算と収支計算・損益計算ができる。

《仕訳の例》
借方科目 金  額 貸方科目 金  額
現   金 1,000円 売   上 1,000円
《資  産》
 一般的な言葉では「財産」と呼ばれる現金・預金や土地・建物・機械のほか、売掛金・貸付金などの「債権」、または特許権・借地権などの「権利」などが含まれます。

《負  債》
 一般的な言葉で「借金」に相当する「借入金」のほかに「社債」も負債に含まれます。このほか、商品代金を先にもらった場合の「前受金」や商品を掛けで購入した代金の未払いである「買掛金」や、その決済の為に振り出された「支払手形」なども負債です。

《資  本》
 大きく分けて、株主などが払い込んだ「資本金」と、企業自身が稼ぎ出した「留保利益」からなりたっています。

《収  益》
 商品の売上代金がその代表的な例です。

《費  用》
 企業活動を継続するためにさまざまな資金が必要ですが、代表的な商品の仕入代金のほか、働く人びとの賃金、家賃などの貸借料、借入金の金利や税金などがあります。



中央会計事務所
税理士 細野知久
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