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中小企業金融問題の第一人者宮本孝氏の直言と経営指南
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宮本孝(みやもと たかし) 1946年福岡県生まれ。九州大学法学部卒。
(株)日本ビジネスクラブ代表取締役 TEL03-5473-7088
マスコミから”中小企業の駆け込み寺”と称され、関与企業は400社以上。著書多数。
金融業界の今日と明日−その@ SYRIEZ 2000年5月号掲載分

 ”敵を知り、己を知る″。これは闘いに勝つための鉄則です。本来 親密なビジネスパートナーであるべき金融機関を”敵”と称することは本意 ではありませんが、取引、あるいは交渉ごとで自分の利益を守ろうとするな らば、相手方の立場・状況・考え方をまず知ることが必要です。その上で自 分の能力、主張の妥当性を検証し、問題解決の方策を講じ、落し所(容認で きる合意内容)を決めなければなりません。
 金融情勢は激変しています。平成13年3月までさらにこの傾向は厳しさを 増します。いたずらに危機感を煽ることは好みませんが、現在の金融機関の 実情を知っていただくために3つの事例を通して説明します。

 まず第1の事例は、皆さんがご存知の長崎屋の倒産です。
実のところこの倒産は金融機関の実情を知るものにとってはこれまでの常 識とはまったくかけ離れたものと受け止められました。
 長崎屋には再建を支援するためにメインバンクから代表取締役社長が乗り 込んでいました。銀行が人を派遣したり、出資をしたりしたからといって、 安泰とは考えられない時代ではあります。しかし社長を送り込んで破綻した のは極めて稀なケースと言えます。このメインバンクは、メガバンク誕生で 話題になった銀行です。大統合の前にお荷物を切り捨てた結果だと言えます。

 第2の事例は私のところに駆け込んできた中小企業者の例です。 この会社(仮にA社とします)は、技術力もあり、取引先にも恵まれ、近 年業績も好調でした。企画開発中心に付加価値の高い商品を手がけ、将来は 株式公開を目指していました。しかしながら、会社も経営者もさしたる資産 を保有しておらず、資金調達はやや不安なものでした。これまではメインバ ンクが中心になり、銀行用語で”紐付け融資”と言われる融資の仕方で資金 繰りが回っていました。すなわち大口の商談が決まると、その売掛債権の回 収金を引き当てにした融資が実行されこれにより外注費や原材料の仕入等の 運転資金が賄われます。そして売上金が回収された時にその振込み入金で返 済がされるという仕組みです。過去3年間の借入残高の堆移を見ますと、こ の紐付け融資の残高はピーク時で1億4,000万円、最低は7,000万円で、商談の 成約状況にもよりますが、おおむね平均1億円程度となっていました。
 不安定な資金調達方法ですが、これによりA社の資金の繰り廻しはできて いました。しかし昨年11月、突然メインバンクから「今後はこの紐付け融資 の形では協力できない」と融資の打ち切りが宣言され、一気に苦境に立たさ れました。この背景と解決策は次回以降に取り上げます。

 第3の事例は、都内大手の信用金庫をメインにしていた中小企業のケース です。この企業(B社)はメインの信金から約7億円(うち保証協会付きが 2億3,000万円)を借り入れており、最大口の取引先と信金から位置付 けられ、永年親密な取引を行なってきました。しかし昨年1月以降支店長の 交代を機にまったく融資がストップし、約定返済だけを求められるような状況 になり、ついに6月に第1回目の不渡りを出してしまいました。

(以下次号に続く)

中央会計事務所
税理士 細野知久
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