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中小企業金融問題の第一人者宮本孝氏の直言と経営指南
  宮本孝の金融教室


宮本孝(みやもと たかし) 1946年福岡県生まれ。九州大学法学部卒。
(株)日本ビジネスクラブ代表取締役 TEL03-5473-7088
マスコミから”中小企業の駆け込み寺”と称され、関与企業は400社以上。著書多数。
金融業界の今日と明日−そのB 「破綻懸念先」区分の現実 SYRIEZ 2000年7月号掲載分

金融不安を解消するため、大手銀行に対し、公的資金による資本 注入が行なわれました。その際に注入を受けた各銀行は、それぞれ「経営の 健全化のための計画」を提出して資本注入に報いる旨の意思表明をしました。
 そして同時に社会の貸し渋り″批判に応えるために、中小企業向けの貸 出しを1年間で約3兆7,000億円(資本注入行合計)増加させることを 約束しました。
 しかし、この健全化を図ることと、中小企業向け貸出しの増強は二律背反 のものです。資本は案の定、平成11年12月時点で、わずか7,000億円足 らずの増加にとどまり、中には残高が減少した銀行もありました。しかも、 増加したか否かを判断する基準日の平成12年3月末の中小企業向け貸出しは 飛躍的に増加し、見事(?)に目標を超えましたので、これがさらに疑惑を 呼びました。

 銀行は融資のアリバイ作りのため、期末日だけの貸出残高を増加させる″瞬 間風速貸出し″を競って行なったのです。金融監督庁の監視下で自律を許されな い銀行は、最初からリスクを伴なう中小企業向け貸出しは当分の間できません。  今は将来の収益源となる一部優良企業と住宅ローンを顧客として争って確 保する動きに出ています。その反面、切り捨てるべき貸出先には容赦ない仕 打ちが待っています。この動きは金融監督庁の検査の進展に伴ない、都銀か ら地銀、そして信金にまで広がってきました。さらに信組にもまもなく検査 が及ぶことは前回指摘した通りです。

その中で特に留意すべきことは金融監督庁の指摘、即ちこれが銀 行の決定にも及ぶのですが、企業が「破綻懸念先」と区分されると今後の資金 調達はほとんど絶望的になるということです。本来、銀行用語であった″債 務者区分″″分類″が、最近はかなり頻繁に新聞等にも登場するものの、 しばしば混乱して使われています。次にその円容を示します。 (図−1)

債権者の五段階区分と資産算定の四分類
債権者区分 正常運転資金等 優良担保・保証分 一般担保・保証分 保全のない部分
正常先 T T T T
要注意先 T T T T
U U
破綻懸念先 T U V V
実質破綻先 T U V W
破綻先 T U V W


今や債務者もこの区分と分類を理解していないと、思わぬ仕打ちに泣くことになります。 この資料の 赤枠で囲んだローマ数字でU〜Wがいわゆる ″分類″というもの で金融機関は一定の損失を引き当てなければなりません。とくにV分類は保 全のない貸出しの70%を引き当てる必要がありますので、こうなると貸出し はほとんど不可能になるのです。資料でわかる通り、破綻懸念先と区分され ない限り、V分類は発生しません。言い換えれば企業は破綻懸念先に区分さ れなければ生きる道はあります。会計人もこれを逆手にとって、間違いのな い指導をしてください。破綻懸念先とは債務超過企業で10年以内(できれば 7年以内)にこれを解消する説得力のある経営計画をもたない企業の区分で す。金融の業態別対応の差、企業の対処方針については次号で触れます。


中央会計事務所
税理士 細野知久
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