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中小企業金融問題の第一人者宮本孝氏の直言と経営指南
  宮本孝の金融教室


宮本孝(みやもと たかし) 1946年福岡県生まれ。九州大学法学部卒。
(株)日本ビジネスクラブ代表取締役 TEL03-5473-7088
マスコミから”中小企業の駆け込み寺”と称され、関与企業は400社以上。著書多数。
■経営者のための金融教室2■ 戦略経営者  2002年7月号 掲載分

  宮本孝(日本ジネスクラブ代表)

経営者は“己”を知れ

 ”敵を知り己を知る”ことは戦いに勝つための鉄則です。取引金融機関を敵視することが本意ではありませんが、交渉事はすべて相手方の実情を知り、そして自分の力、評価を知った上で備えを行わなければ有利な戦いはできないのです。前回金融機関の現実の姿をお示しして、言わば“敵”を知っていただきました。今回は経営者に己を知っていただくための材料を提供します。
 冷静に自分の会社を評価した上で経営改善の努力が必要なことを理解し、また金融機関に対する適切な対策を立てる前提としてください。

あなたに対する銀行の評価は?

 まず「債務者の五段階区分と資産査定の四分類」の一覧表について説明します。

債務者の五段階区分と資産査定の四分類
債務者区分 正常運転資金等 優良担保・保証分 一般担保・保証分 保全のない部分   備   考
正常先 T T T T  
要注意先 T T T T 貸出金額が分類される場合と
一部が分類される場合がある
U U
破綻懸念先 T U V V 債務者の状況によっては
正常運転資金がある場合もある
実質破綻先 T U V W
破綻先 T U V W
※ 赤枠で囲んだローマ数字でU〜Wがいわゆる ″分類債権″といわれるもの
(注)通常の要注意先……U分類について3〜5%の貸倒引当金が必要
   要管理先(金利減免先、延滞先)……U分類について15%の貸倒引当金(固有名詞付)が必要


 すべての債務者は業績(収益力)、財務内容(不良在庫、貸し倒れの怖れのある売掛金など問題のある資産ないか)と債務の返済状況(延滞や返済条件の変更はないか)によって問題の無い正常先から既に倒産している破綻先まで五つに区分されます。言わば成績順に債務者をクラス分けするのです。

 その次に債務者に対する貸出金について担保や保証での保全状況に応じて回収に不安のないT分類から全く回収見込みがないW分類までの四つの査定を下します。
 金融の世界で不良債権と称されるのは一覧表に太枠で囲んだ部分で、U分類からW分類に査定された貸出金のことです。言い換えればT分類だけが正常債権です。この区分と査定の方法は昔から基本的には変わりありません。
 ただし、最近は要注意先に区分される債務者を二つに分けて、より問題のある債務者を要管理先として一般の要注意先よりも厳しい損失引当を求めるようになりました。また、従来よりも区分や査定の基準について金融検査マニュアルで細かく具体的に定めたことから金融機関の裁量が制約されるようになりました。それでも大手銀行に対して行われた特別検査の公表内容を見るとかつての保護行政の名残が見られ大銀行と官のもたれ合いが底流にあるという印象を多くの識者が指摘しています。

 むしろ大企業よりも中小企業の方が厳しい査定に晒され苦境に追い込まれる状況がとりわけ大銀行において顕著です。
 厳格な債務者区分を行えば中小企業で正常先に区分されるのは15%、全国で40万社がせいぜいでしょう。長引く不況の中で黒字決算企業が約30%、80万社という状況の中では金融検査マニュアルが求める正常先に区分されることは大変困難です。大半の中小企業が要注意先以下に区分されかねない中、最も大切なことは破綻懸念先に区分されれば金融支援は絶望的になるということです。

破綻懸念先の定義を分かり易く言えば次のようになります。

 債務超過状態でこれを10年以内に解消できることを示す客観的、具体的な経営計画が策定できない債務者。またこの債務超過の認定は不良在庫や回収の可能性の低い売掛金や貸付金も加味した実質で判断されます。
 自分の会社が紛れもない正常先かまたは破綻懸念先に該当するかを冷静に判断し、どちらにも当てはまらなければ要注意先だと思えばほぼ間違いはありません。


中央会計事務所
税理士 細野知久
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