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中小企業金融問題の第一人者宮本孝氏の直言と経営指南
  宮本孝の金融教室


宮本孝(みやもと たかし) 1946年福岡県生まれ。九州大学法学部卒。
(株)日本ビジネスクラブ代表取締役 TEL03-5473-7088
マスコミから”中小企業の駆け込み寺”と称され、関与企業は400社以上。著書多数。
■経営者のための金融教室3■戦略経営者  2002年8月号 掲載分

  宮本孝(日本ジネスクラブ代表)

「なりゆき経営」との決別

「経営計画」は企業の絶対条件

 前回、金融検査マニュアルが定義する「破綻懸念先」の基準を示しました。即ち債務超過状態にある企業は、10年以内に債務超過を脱却できると信じるに足る具体的・客観的な「経営計画」が策定されていなければ要注意先に留めることができます。逆にそのような「経営計画」が示せなければ破綻懸念先に区分され、早晩金融機関から最終処理されることとなります。これは中小企業においては倒産に向かうことを意味します。業績や財務内容に問題があればあるほど経営計画の策定は企業の死活問題になるのです。

 残念ながら多くの中小企業経営者、それも経営内容に問題のある企業に、経営計画の必要性について認識が甘いのが実情です。逆に健全な企業ほどしっかりした経営計画が策定されています。これまでに企業経営者から何度も「先行き不透明な中で当社のような零細企業が大げさな経営計画なんて作れません」という言葉を聞かされました。そんな時にはいつも私は次のように答えます。「明日のことも分からない不透明な時代だからこそ、経営計画が必要なのです。どんなに小規模な企業でも毎月の固定費、最小限の経費は必要です。これを賄う売上を上げ、多少でも利益を出すことが事業経営です。何も大げさな見映えの良い計画書を作ることが求められる訳ではありません。算数ができるのであれば誰にでも作成できます」

 では、資料のような中小企業が作成した経営計画の実例を示して説明します。
図−1 中期経営計画   [表のダウンロード] ←右ボタンクリックで「対象をファイルに保存」を選択


"本気"で改善に取り組む

 この企業は前々期(平成12年8月期)に大幅な赤字を計上し債務超過に陥りました。これを受け取引先別の売上計画を全社で詳細に積み上げ、また経費の見直しを細かい項目まで個々に詰めた結果、平成13年8月期には黒字に転じました。さらに今後も徹底的な予算管理を継続することで、3年で累積損失を一掃することを目指し金融機関を説明したのです。

 なかでも金融機関を驚させたのは、社長の給与を一定期間(経費削減効果を見定める間)月額100万から10万まで減額したことでした。経営者が本気で経営改善に取組む姿勢を評価した金融機関は、この連載で次回以降に説明する予定の「リスケジュール」(返済計画の変更)と貸出利率の引下げに協力してくれたのです。

 この企業が大幅な赤字を計上し、債務超過となったのにもかかわらず、資料に示したような経営計画の策定を行わず、「何とかなるよ」というなりゆき型経営姿勢のままならば金融機関には支援、協力の口実さえなくなります。金融激変の時代ですが、"貸し渋り"を嘆く前にまず経営者が意識改革に努めることが必要なのです。


中央会計事務所
税理士 細野知久
  〒179 東京都練馬区早宮2-17-37
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