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中小企業金融問題の第一人者宮本孝氏の直言と経営指南
宮本孝の金融教室
宮本孝(みやもと たかし) 1946年福岡県生まれ。九州大学法学部卒。
(株)日本ビジネスクラブ代表取締役 TEL03-5473-7088
マスコミから”中小企業の駆け込み寺”と称され、関与企業は400社以上。著書多数。
■経営者のための金融教室5■ 戦略経営者 2002年10月号 掲載分
宮本孝(日本ジネスクラブ代表)
逆転の資金繰り〜「リスケジュール」そのA
リスケには事前準備が必要
今回は、実際にリスケを金融機関に対して折衝する場合の手順について要点を説明します。
リスケの折衝がうまくいくか否かのカギは事前準備にあると言っても過言ではありません。事前準備には企業内部のものと、折衝対象金融機関に対するものと二つあります。
まず企業内部における準備は金融機関との折衝に必要な経営改善に関する資料の整備に万全を期すことです。資料で最も大切なのはこれまでにも述べてきた経営計画の策定です。経営計画の実現性が評価されるものとなっていて、金融機関を納得させるのに十分なものであれば、仮に相手方の金融機関が協力に前向きでない場合でも最終的には説得することは可能です。経営計画を説得力のあるものにするためには一つひとつの数値がそれぞれ根拠のあるものでなければなりません。経費削減計画や取引先別、あるいは商品別の売上計画をその根拠の説明資料として作成することが必要になります。経営計画の他に必要なものは収支計画表(資金繰り表)や金融機関別借入残高推移表などです。
また折衝相手である金融機関に対する事前準備にも万全を期す必要があります。
これは一言でいえばその金融機関からリスケを拒否され融資回収の姿勢を示されても困らない状況にすることです。言い換えればその金融機関の預金口座を借入の返済用だけの機能しか持たないものにすることです。最も留意することは支払手形の決済をその金融機関で行わず、他の金融機関に変更すること。場合によっては数ヶ月を要する最重要の事前準備です。手形と縁が無ければ(不渡が発生しないので)倒産はしないと言われる所以です。その他には取引先からの振込入金を他の金融機関に変更したり、給与振込の元受けの廃止、各種の自動引落しの変更などが必要になります。本来取引金融機関との信頼関係は大切にしたいものです。しかし金融政策は銀行に対して厳しい対応を求めています。
中小企業にとってのセーフティーネットが不十分ななかで中小企業がその"あおり"を受けないためには、金融機関と一時的に対決するかのような局面が発生してもこれを乗り切れる対応が必要なのです。
金融機関との折衝方法
万全の事前準備をした上でいよいよ折衝を開始します。「リスケの依頼書」(返済条件変更依頼書)を作成し経営計画など作成資料を添えて金融機関に対しリスケの依頼を行います。依頼者には現在の返済条件をどのように変更すれば収益力の範囲で滞りなく返済が可能であるかをはっきり示します。またリスケに応じてもらっている期間については一切新たな借入は求めないことを宣言します。
変更を依頼する内容は各企業の収益力によって差が出ます。最悪の場合、利息の支払いのみで元本の返済は凍結することになります。リスケの依頼機関は実質的には五年以上の長期になることが多いのですが、最近は六ヵ月ごとに見直しをすることを約束することで合意するケースが一般的です。申し入れ後、合意に達するまでに一ヵ月程度はかかることが通常ですから早目に余裕を持って着手することが必要です。
以上、リスケの手順をかいつまんで説明しましたが、詳細は拙著「今こそ銀行取引を変えなさい」および「リスケジュールで会社を守れ」(いずれもWAVE出版)をご参照下さい。
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