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中小企業金融問題の第一人者宮本孝氏の直言と経営指南
宮本孝の金融教室
宮本孝(みやもと たかし) 1946年福岡県生まれ。九州大学法学部卒。
(株)日本ビジネスクラブ代表取締役 TEL03-5473-7088
マスコミから”中小企業の駆け込み寺”と称され、関与企業は400社以上。著書多数。
■経営者のための金融教室7■ 戦略経営者 2002年12月号 掲載分
宮本孝(日本ビジネスクラブ代表取締役 中小企業診断士)
究極のリスク管理とは
真の正常先は10%・約30万社
この連載を終えるに当たり典型的な中小企業が、金融破綻を回避するためのリスク管理について具体的に述べてみます。
直近の全企業の申告状況によれば約272万社のうち30.9%、約84万社が黒字、69.9%、約188万社が赤字でした。粉飾も含め何らかの経理操作で黒字を装った企業は正確なデータはありませんが約15%、40万社に及ぶと思われます。この推測は私が多数関わってきた会計人(約3000名)と現場の銀行員(約2000名)の実感から得られたものです。
長期化する不況の中で企業が収益を確保する事は極めて困難になっていると言えます。しかし、たとえ環境が如何に厳しくても"赤字企業は倒産予備軍"という現実は変わりません。この損益状況から判断すれば実質赤字である約85%は債務者区分で言えば「要注意先」以下とされることが予測されます。もちろん損益計算書だけで債務者区分がなされる訳ではありません。過去の蓄積あるいは損失、さらに財務内容を検証して債務者区分が決まり、債権の分類が行なわれます。
現役銀行員の意見を集約すると「間違いなく正常先として対応できる中小企業は10%程度」ということになります。"業績良好、財務内容も問題無し、もちろん借入返済は遅延無し、欲を言えば担保もまず十分"・・・これをすべて満足できる中小企業がせいぜい10%という現実は大変厳しいものですが、私の実感とも近いと思っています。
また、本業の利益、即ち営業利益段階で赤字の企業が10%、約30万社あります。これらの企業は借入金の金利支払いも不可能で赤字補填の借入があることになり、このままでは金融破綻どころではなく本業で破綻を迎えます。"まぎれも無い正常な"企業10%と"本業で生き残れない"10%の企業、合計20%の企業はこの原稿と無縁と言えます。
マルホ専用金融機関を作る
中小企業に対し金融機関が自らのリスクで貸出を行うことは現在の金融政策では極めて期待薄です。
保証協会付融資(略称マルホ)だけが頼りであることは全金融機関共通です。デフレ対策で計画されている中小企業のセーフティネットもこのマルホ融資枠が唯一に近いものとなるでしょう。中小企業はこのマルホを活用する場合、プロパーの借入の無い金融機関にマルホを集約するよう努めなければなりません。その窓口は地域金融機関とする方が無難です。
割引枠を地域金融機関で確保する
手形回収がある企業の大半はその資金化のために取引金融機関で割引いてもらって資金化を図らなければなりません。ところが、最近は割引く際の銘柄について選別が厳しくなっています。さらにプロパーの借入がある場合、回収を強化するため、実質的には割引いた資金が返済金に回される傾向が強くなっています。既往の取引金融機関以外で割引だけ行える余地を十分に作っておくことがリスクを避けるために不可欠です。前述のマルホと同じ金融機関でも構いません。多少の積立定期を実行し、不安の少ない銘柄から順に実績作りをすることが必要です。
最後に支払手形の決済場所はプロパー借入の無い金融機関で行うことです。貸しハガシに対処するために、絶対にこのような手を打っておかねばなりません。(完)
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