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2002.11.07. 外形標準課税に反対の声を!!

 政府税制調査会で平成14年度税制改正の検討が行われていますが、その中でも我々中小企業にとって見過ごすことが出来ないのが、法人事業税への外形標準課税制度の導入です。

 法人は国税としては法人税、地方税としては事業税・都道府県民税と市町村民税を納めています。しかし、長引く不況の中で赤字申告法人が約七割を占めていることから、所得を課税標準とする法人税・事業税の税収が著しく落ち込んでいます。
そこで旧自治省時代から「地方自治確立対策協議会」が赤字法人が事業税を納めていないことをやり玉に挙げ「どうする税の空洞化」などと言い、「約七割の法人が、各地域で行政サービスを受けながら、法人事業税を負担していません」とあたかも赤字法人が地方税を何も負担していないかの如きニュアンスの下に論議を盛り上げています。

これに対して全国で中小企業団体が反対署名運動を繰り広げているのはご承知の通りです。


なぜ反対なのか

 反対すべき一番の理由は今税制調査会で論議されている前提が「地方税収の確保」に焦点が集まり、「地方自治の確立」の前提となる地方自治体の課税権の問題や、「地方交付税交付金」のあり方に対する再検討がまるで為されないままに、外形標準課税制度を導入しようとしているからなのです。まさに全国知事会を筆頭に協議会の態度は「貧すれば鈍する」です。中小企業の社長でも理念を大切にする今の時代に、国家百年の計を考えるべき全国の首長がこの有様では怒りを通り越して情けなくなってしまいます。

 二番目の理由は、総務省案にある「付加価値割」の考え方は、既に「消費税」がその実体は付加価値税であることから、付加価値に対して複数の税目で課税することになるところです。この制度が導入されてしまえば、付加価値という大きな課税ベースを基に税率の変更だけで簡単に増税が行えるそのような制度を許すわけにはいかないのです。
 時代を背負う人々に大きな負担を残すわけにはいきません。黙って見過ごせばこの十一月中にまとまる税制改正大綱に盛り込まれてしまいます。今こそ私たち全員が大きな反対の声を上げましょう。



外形標準課税の影響と問題点

税負担は増える
 総務省案では増税ではないといっていますが、個別に計算をしていただけばハッキリと分かるように、税負担が軽くなる企業は皆無に近いのです。その増えた税額は所得に対する税額でないことから、一般管理費として経理処理をすることが予想され、経常利益段階での利益を更に圧迫することは明らかです。

雇用への影響は大
 賃金に課税することで唯でさえ失業率が高くなっている雇用情勢に悪影響でる事は明らかです。

  赤字法人の税負担
   赤字法人があたかも地方税を何も負担していないかの如くの論調がありますが法人企業は法人住民税の均等割・固定資産税・都市計画税・事業所税など既に多くの地方税は納めているのです。

経済全体への悪影響
 外形標準は「事業の活動規模を適切に表す基準」だとしていますが、儲けの有無にかかわらず、従業員を雇えば人件費に課税し、銀行からお金を借りれば支払利子に課税し、土地や建物を借りれば支払賃料に課税する、更に法人企業だというだけで資本金等に課税するというのは、企業活動を萎縮させる効果しか生まない悪税といっても過言ではないでしょう。


 皆様の積極的な発言と行動を期待します。
 掲示板にどんどん書き込みをして下さい。



総務省の外形標準課税導入案の概要

 平成13年11月に発表された総務省案(法人事業税の改正案・骨子)の内容を検討します。
●地方税制度
●法人事業税の改正案について

1.課税の仕組み
 今までの所得を課税標準とする事業税の税率9,6%を半分の4.8%にして新たに外形標準による税額として付加価値割額と資本割額を併用し、その比率は3:2:1の割合としています。

 対象法人は「所得および清算所得が課税標準とされている普通法人」としていますので協同組合などは含まれません。

 新たな課税標準となる付加価値割の中身は「収益分配額」(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)に「単年度損益」プラスまたはマイナスするとしています。
 資本割は資本の金額又は出資金額+資本積立金額を「資本等の金額」としています。
 標準税率は
 所 得 割   4,8 %
 付加価値割  0.66%
 資 本 割   0.48%
として大法人と中小法人の税負担の比率(概ね6:4)は、変わらないように税率を設定するとしています。
 小規模法人への配慮として資本金一千万円未満の法人については、付加価値割額及び資本割額の合計額に代えて、定額4.8万円(簡易外形税額)を選択できるとし、更に赤字が3年以上継続する法人や創業5年以内の赤字ベンチャー企業のため、経営が軌道に乗ってから納税できるよう、新たな徴収猶予制度を創設するとしていますが、これらは反対意見に対する肩透かしや一時しのぎの方策に思えます。

2.適用期日
 「平成14年度税制改正で制度化し、平成15年4月1日以後に開始する事業年度から適用。ただし、資本金一億円以下の中小法人にあっては、平成17年4月1日以後に開始する事業年度から適用。」更に「実施当初3年間については、外形標準の導入割合は四分の一とする。」となっていますが、これらの措置は全て反対意見を和らげるための方策にしか見えません。

3.税収に与える効果
 ここでは、「本改革案は、過去の平均的な税収の確保を目指すものであり、増税を目的とするものではない。現行の所得課税を維持した場合に比べ、経済状況等にかかわらず税収の安定が図られる。ちなみに、経済状況等が全く変わらないという仮定に立ち、平成12年度決算見込みを基に推計すれば、法人事業税全体の税収額は、平成16年度において約3.9兆円、平成21年度において約4.1兆円と見込まれる。」としていますが、「税収確保」しか頭にないことを露呈しています。

4.地方税法第72条の19(条例で外形標準課税が導入できる特例)の改正
 この項目で、過去に東京都が銀行勢を取り入れたり神奈川県が場外馬券売り場に課税したりするような、各自治体が独自に課税できることになっている今の制度を変え、今後は独自の課税を出来ないようにしようとしています。
 これこそ、地方自治の確立に反する大変な改正だと思われますが、外形標準課税を推進しようとしている「地方自治確立対策協議会」を構成する全国の首長はいったい何を考えているのでしょう。




中央会計事務所
税理士 細野知久
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